【関連記事】なぜ世界の投資家は「フィリピン不動産」に熱視線を送るのか?
住宅マーケットの主役は大都市圏から郊外へ
コロナのワクチン接種率の向上や消費者・企業のセンチメントが改善してきたことを背景に、来年のフィリピンの不動産市場は、回復が見込まれています。
住宅分野では、2022年には合計約9,700戸の物件完成・引き渡しが見込まれていて、これは2021年から18%の増加です。物件価格と賃料も回復すると大手不動産調査会社Colliers Internationalは予測しています。
保健省(Depatment of Health: DOH)のデータによると、2021年12月13日現在、約4,150万人のフィリピン人が完全に予防接種を受けたとされています。フィリピン政府は、2021年末までに約5,000万人が完全接種を受けると予測しています。そして、2022年末までに国民の90%がワクチンを接種し、集団免疫を確立するというのが政府の目標です。これにより、住宅市場は再び活性化し、コロナ前の上昇相場、基調になると予想されています。
需要の主役はOFW(Over Seas Philippino Workers)という海外で働くフィリピン人です。彼らが稼ぐ外貨は、フィリピンへ送金されますが、その規模は約3兆円でGDPの10%程度に相当します。そして、送金された資金の約半分が不動産購入に充てられるといわれ、フィリピンの住宅需要を下支えしています。
マニラの中心地マカティーやボニファシオグローバルシティー(BGC)では、すでに開発が相当程度進んでおり、新規の開発地が限定的ですので、物件供給も限定的です。そのため物件価格は、一部中古物件でオーナー都合で割安物件は出てきているものの、全体的には高止まりしています。そんな中、ケソンシティーをはじめとする郊外へ供給、需要ともに移っている傾向にあります。
また、政府の地方分権化計画とビルドビルドビルド政策による大規模な交通インフラプロジェクトの推進によって、大手ディベロッパー各社がマニラ首都圏外のマスタープラン・コミュニティの開発を進めています。
今後1年から36ヵ月の間に、NLEX-SLEX連結、南北通勤鉄道、セントラル・ルソン・連結高速道路(CLLEX)などの主要インフラプロジェクトが完成し、ブラカン国際空港の完成とクラーク国際空港の拡張も予定されていますので、パンパンガ州やブラカン州などの資産価値の向上が見込まれています。
また、昨今ミレニアム世代が住宅の購買層として存在感を示す中、スマートハウスへの需要が高まっています。家電製品をスマートフォンでネットワーク化したり、人感センサーを活用して照明をオン・オフすることによって、エネルギーを節約するなどの住宅の需要が高まっています。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>