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オミクロン株初確認もマーケットは楽観視か
フィリピン株式総合指数は、12月15日の終値で7241.99となり、1日のコロナ感染者数が150人程度で、回復基調にありました。オミクロン変異株の実態の全容が未だ解明されていないものの、重症化リスクが小さいであろうという認識の元、世界の株式市場は、再び上昇基調に戻りつつあります。
フィリピンでは、15日にオミクロン株に2人が感染したと発表があったものの、コロナ感染者数も100人台まで大幅に下がってきましたので、フィリピン最大の消費シーズンであるクリスマス商戦が活性化しそうな様相を呈しています。クリスマス商戦で賑わうショッピングモールは、コロナ前の80%程度まで回復してきているようです。
また、アメリカのハイパーインフレが発表され、FRBのテーパリングの加速化とその後の速やかな利上げも市場が織り込まれつつある状況です。ただ、全体的にまだ不確定要素がありますので、世界中の各種情報を敏感に捉えながら、それらがフィリピン経済やマーケットに与える影響をウォッチしていく必要があるでしょう。
消費回復傾向で電力供給量が増加
このような環境下、注目の銘柄をみていきましょう。。最初に発電セクターを見てみます。フィリピンの平均電力価格は、天然ガス発電所が再稼働し、供給量が増加したため、前月の6.51/kWhから5.17/kWhに低下しています。12月のスポット市場の電力価格は、季節的に需要が減少するため、さらにP5.00/kWh程度まで下がると予想されています。発電大手「アボイティスパワー社(AP)」の株価が11月初旬の高値P34.00から直近の安値P29.15まで下落したのは、これが引き金になったと考えられています。
直近の電力価格は下がっているものの、5年間の平均である P3.92/kWhを大幅に上回っている状態が続いていますので、長期展望としては、「AP社」の収益の下支えになると考えられています。
「AP社」は、2022年のPERが10.6倍、2023年のPERが9.4倍となっており、競合他社である「アヤラエナジー(ACEN)社」の2022年のPERが46.5倍、2023年のPERが33.2倍と比較して、かなり割安水準と言えます。一方、もう一つの競合である「ファーストジェン(FGEN)社」の2022年PER6.6倍、2023年PERが5.7倍よりは若干高い状態です。
しかし、「AP社」の収入と収益は、マレーシア企業を買収した「ACEN社」よりもはるかに予測可能と考えられます。また、「FGEN社」に対する割高感は、APの過去の平均配当利回りが3.8%と高いことに起因すると思われます。APの過去5年間の平均配当利回りは3.8%で、FGENの平均配当利回りは2.1%です。
「AP社」は同業他社と比べて安いだけでなく、同社の過去10年のPERと比較しても割安水準で、36.40ペソ 程度まで上昇余地がありそうです。
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