BPOがオフィス需要を牽引…コロナ前の水準に回復か?
オフィス需要は2016年のレベルか、2017年から2019年に見られたフィリピンのオフショアゲーム運営会社(POGO)主導の成長期のレベルに跳ね返る可能性が高いと見られています。ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)が、引き続き需要ドライバーになりそうです。
昨年からフィリピンにも導入された上場不動産投資信託(REIT)も、アヤラランド、ダブルドラゴン、メガワールドなど大手ディベロッパーがこぞって参入しましたが、その物件ポートフォリオは、ほとんどBPOを主要テナントとするオフィスビルで、高稼働率を維持しています。
2022年も、このBPO産業は、より多くの労働力を必要とし、それに伴い、オフィススペースのニーズも増加すると考えられます。
IT & Business Process Association of the Philippines・フィリピンIT&ビジネスプロセス協会によると、この業界は2022年さらに16万人の人員が必要と発表し、約290億ドル(3兆3000億円)の収益を上げることができるだろうと述べています。Asia Pacific Real Assets Associationアジア太平洋不動産協会(APREA)CEOのSigrid Zialcita氏は、BPO産業はフィリピンの不動産価値の上昇に大きな役割を果たすだろうと述べています。
また、BPOの分野での世界のトップ2は、フィリピンとインドですが、コロナ禍でインドが多数の感染者を出したことで、フィリピンへシフトした企業も多いという話しも聞きます。
大手不動産リサーチ会社Leechiu Property Consultants (LPC) は、オフショアゲーム運営会社POGOについて、今後3〜5カ月で回復すると予想しています。POGOは、オフィススペースのテナントであるだけではなく、その従業員がベイエリアやマカティー、BGCなどマニラの中心部に居住するため、住宅の賃貸、売買市場にも大きな影響力があります。
オミクロン変異株の感染拡大状況とロックダウンなどの行動規制措置の再始動やインバウンド外国人の受け入れなどの状況によりますが、ファイザーをはじめとする世界の大手製薬メーカーが口径ワクチンやオミクロン対応ワクチンを開発してくるので、2020年のような長期間にわたる厳しいロックダウンの可能性は低いと見られ、POGOに限らず外国人がフィリピンに戻ってきますと、住宅の賃貸、売買市場が活性化してきます。
2021年・年間には、フィリピンのオフィス需要は54万平方メートルを超え、少なくとも前年比39%増になるとLPCは予想しています。2021年第4四半期だけで、オフィスの入居は前年同期比74%増の16万平方メートルに急増しました。
空室率はマニラ首都圏全体で18%、特にPOGOの集積スポットだったマニラ湾エリアで27%と高くなっています。マカティとボニファシオ・グローバル・シティー(BGC)の空室率は、それぞれ12パーセントと13パーセントと、コロナ前と比較すると上昇しましたが、マネージャブルな水準にとどまっています。
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