2025年「フィリピン経済」は6%成長予測…高成長を見通す要因とは?

1月27日週「最新・フィリピン」ニュース

2025年「フィリピン経済」は6%成長予測…高成長を見通す要因とは?
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週は2025年のフィリピン経済を押し上げることが期待されるセクターについて解説します。

フィリピン経済を牽引するBPO産業、さらなる拡大か

フィリピン経済は2025年に約6%成長すると見込まれており、その要因の一つにビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業界の拡大が挙げられています。シティグループ(Citi)は、BPO業界が引き続き多くの雇用を創出し、グローバルBPO産業が価値を高める中で、フィリピンが重要な役割を果たすと見られています。現在、フィリピンの情報技術およびビジネスプロセスマネジメント(IT-BPM)業界は2024年末時点で380億ドルの輸出収益を記録し、182万人のフルタイム従業員を抱えています。業界は2028年までに輸出収益を590億ドル、従業員数を250万人に増加させる目標を掲げています。

 

フィリピンがBPO業界の発展を維持するためには、音声業務(コールセンター業務)だけでなくミドルオフィス業務などの高付加価値分野への移行が重要であるとされています。一方で、人工知能(AI)の進化が業界にリスクをもたらし、雇用の減少を招く可能性がある点も指摘されています。

 

フィリピン経済の安定成長により、国内銀行業界は引き続き良好な収益を上げる体制が整っています。また、2023年末にはフィリピンの主権格付けが「BBB+」に引き上げられ、国と国有銀行にとって国際資金調達の条件改善に寄与しています。この格上げにより、国際金融市場での資金調達コストが下がります。

 

フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)は2023年8月以降、政策金利を合計75ベーシスポイント引き下げ、現在の金利は5.75%となっています。レモロナ総裁は、インフレ率が年間目標内に収まっているため、さらなる利下げの余地があると述べました。次回の金融政策会合は2月20日に予定されており、金利動向が銀行業界の収益性に影響を与えると見られています。フィリピンの銀行業界は、強固なバランスシートと低い不良債権率を維持しており、経済成長が続くなかで今後の機会に対して十分な準備が整っています。このような経済と金融業界の状況は、国内外の投資家にとってフィリピンの競争力と魅力を高める要因となるでしょう。

 

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