住宅、オフィス以外の不動産マーケットの行方
フィリピン観光局の発表によると、来年の国内旅行者数は8480万人に達する可能性があるとし、地元観光が2022年のレジャー部門の回復を牽引すると見ています。これは、COVID-19が上陸する前の2019年の総旅行数の約90%に相当します。
地元旅行者のリベンジ旅行がホテルの稼働率向上に役立ちそうです。供給サイドは、マニラ首都圏だけで1,900室が完成すると予想されています。
リテール不動産ですが、Cilliersによると、2022年は推定523,700平方メートルの新しい小売スペースが供給されると予想されています。消費意欲の高いフィリピン人のリベンジ消費が期待されています。
一方、同社は小売業者に対し、オンラインプレゼンスを拡大し、eコマースの人気に伴う技術の進歩を最大限に活用することを推奨しており、実店舗に対しては、モバイルウォレットアプリとの提携を積極的に行うよう勧めています。
また、ショッピングモールの運営会社に対しては、スペースの使い方に柔軟性を持たせるようアドバイスしています。たとえば、特設ショールームや催事場のようなポップアップストアの開設や、コロナ予防接種のためのアクティビティセンター、Park & Dining、やアルフレスコ(屋外)ダイニングなどの代替ダイニングオプションの導入などです。
そして産業用不動産部門の成長は、やはり電子商取引市場、物流セクター、製造セクターに支えられることになります。Colliersは、今後3年間の大きな需要を見込んでいて、既存の倉庫施設を改修することで、不動産ディベロッパーは、2022年に発生する大きな需要を取り込めると述べています。施設の自動化、人工知能(AI)システム、クラウドマネージドITソリューションなどの先端技術を活用することをデベロッパーに勧めています。また、コールドチェーン物流施設の拡張も推奨しています。
現在BPOオフィス中心のREITのポートフォリオですが、今後需要が急拡大する物流施設をポートフォリオとするREITの登場も期待されています。
フィリピン政府は、2022年に向けて、不動産セクターを経済の牽引役とするべく、動いています。
フィリピン統計局(Philippine Statistic Authority)の報告によると、政府は2021年第2四半期に合計PHP225億の海外投資を承認しました。これは、2020年に記録されたPHP154億よりも45.5%増加しています。
またフィリピンの各産業セクターでは、外資誘致、経済活性化のため外資規制緩和の動きもあり、不動産セクターの活性化、土地や建物、商業スペースの需要拡大が期待されます。
2022年はコロナからの回復の年と位置付けられます。これにより、供給サイドは建設工事の進捗がよりスムーズになり、より多くの新規物件が市場に供給されることになります。一方需要については、都心部の高層コンドミニアムについては、旺盛なOFWの需要と販売総戸数の40%の需要をしめる外国人買いがコロナ収束に伴って戻ってくることが予想されます。
マカティー、BGCというマニラ中心部からの供給が限定的となっていく中、交通インフラの充実が進む形で、ケソンシティーやブラカン、パンパンガなどマニラ北部エリアへの需要と供給が拡大し、それに伴う資産価値向上が見込まれます。
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