「事務スタッフ=デスク周辺で仕事する人」とは限らない…知られざる医療従事者の仕事 (※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの流行により、医療従事者の仕事に注目が集まっています。とはいえ一般人にとって、医師や看護師の仕事はなんとなく想像がつくものの、接する機会の少ない事務スタッフについては「何をしているのか、よくわからない」というのが本音ではないでしょうか。事務といえど、デスク周辺だけで仕事が完結するわけではなく、病院内を奔走することもしばしば。実際に事務方として働く筆者は、どのような業務を担っているのでしょうか。

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感染状況が落ち着き「患者との面会」を少しずつ再開

このところ新型コロナの状況が落ち着きを見せており、筆者の勤務する病院でも現在、新型コロナの感染が爆発していた時期に制限していた入院患者さんとご家族との面会を、一部再開するなどしています。

 

新型コロナの感染が拡大していた時期に進められていなかった院内の整備などを、あれこれ進めています。

 

地味な業務ですが、進めるには院内の各部署との調整が必要です。この調整をスムーズに行い、整備を実際に進められるかは、事務スタッフの力量にかかっています。「整備してくれ」と言うのは簡単ですが、実行するのにはなかなか手がかかるものです。

物置きと化した「面談スペース」を整理整頓

面会を再開するにあたり、感染拡大を防止するため、人数や時間、場所などに制限を設けることになりました。特に場所については、建物の玄関入ってすぐの面談スペースを利用することになりました。

 

簡易的なパーテションで部屋として設えられたスペースで、もともと面談のために準備していた場所でしたが、院内の様々な物品の仮置き場になっていました。まだ使えるのだが捨てるのも惜しい…というような物品が置かれ、使い勝手の良いところにある倉庫として、院内の「その他」が寄せられる場所にしてしまっていました。

 

こういった場所の整理は、つい後回しにしてしまいます。面会を再開するにあたり、このスペースを使うことにならなければ手を付けてはいなかったことでしょう。実際のところ今回も「面倒だな…」と後回しにしてしまいそうでしたが、一緒に体を動かすスタッフが近くにいると手を付ける勇気が出てきます。「今からやってしまいましょう!」ということで、さっそく部屋の中に突入しました。ノリと勢いは大切です。とにかく片付けば、必要物品を調達して設置するのは簡単です。

片付けるのに「各部署の確認待ち」になる物品も多々

見てみると、事務スタッフにはそれが何なのかよくわからない物品も多かったですし、経緯がよくわからないような物品もありました。

 

棚や椅子といったものはいくらでも次の使い道を考えられますが、押し込まれてしまった医療機器はよくわかりません。そこで看護部門のほか、様々な方面に声をかけていきます。やはり各部署、自分たちが扱う物品についてはよくわかっています。事務スタッフだけで、モノだけを見ながら考え込んでいても進みません。一つ一つ、壊れていないか、使う機会があるかを確認しながら、廃棄にするのか、修理に出すのかなど、決めていきました。

 

中心となる事務スタッフが院内各部署のキーパーソンに連絡をすぐに取って話せるかどうかで、数時間で片付くか1週間経っても片付かないかが左右されます。

調整は「スタッフ間だけ」では済まない

同様に、エアコンの修繕も最近の院内の話題です。直近では応急処置的に手術室のエアコン修繕を行うのですが、もちろん手術の予定を確認しながら業者さんと連絡をとり、事前の調査から物品の手配、工事時期の設定と進んでいます。

 

実は、エアコンは建物全体で調子がよくありません。感染拡大防止のためにも換気は重要です。かなりの費用がかかってしまうのですが、患者さんに関わる部分に不具合があれば、できる限り早く対応せねばなりません。

 

手術室の場所は病室の「隣」というほどではないため、手術予定さえ押さえておけば比較的自由に工事の計画を組めます。しかし、建物全体となると患者さんは常に病棟にいるわけです。具合が悪くて寝ている横でバリバリガタガタと音や振動を立てることになってしまいます。患者さんへの細やかな配慮が欠かせません。看護スタッフを中心に、患者さんへの説明やフォローが必須です。

 

事務スタッフは患者さんへの迷惑や業務への支障が最小限になるよう、全体の調整を担います。実施することが法で定められている設備の検査などでも、多かれ少なかれ必ず調整は必要になります。各方面の話をしっかりと聞いて整理する力が求められます。

 

人の話を最後まで聞くという当たり前のことを確実に行いたいものです。相手の話の途中で被せるように話し出してしまっていては、患者さんに関わる貴重な情報を共有することができないなど、何かが抜け落ちて調整不足となってしまいます。

事務スタッフに求められる「調整力」

さて、院内の調整を中心的に担うことになる事務スタッフですが、実際の診療現場のことを事細かに把握しきれているわけではありません。たとえば手術室での細かな動きや使用する物品、機器など、わからないことばかりです。

 

そうすると、たとえば医療機器など、「必要だと言われたから買う」などと闇雲な決断を導くことにもなりかねません。「どうせ話してもわからないから」と、情報を共有されにくいという場合があるのかもしれませんが、事務としても、必要性などを腹落ちするまで確認することが理想です。

 

筆者の病院でもこのところ、医療機器の購入の話が持ち上がっています。伝え聞く情報だけで判断はできず、業者さんに来ていただき、看護師と一緒に現場を見ながら購入すべき理由を確認しました。現物などを見ながら話すとイメージも湧きやすく、「あったら便利」というものなのか、「すぐにどうしても必要」というものなのかを把握することができました。

 

院内の調整で優先順位をつけやすくなり、必要な工事をスムーズに進めることなどに繋がります。事務スタッフだからといってデスク周りだけで仕事をするのではなく、実際に足を運んで確かめてみると整理がつきやすくなります。

 

整備しなければならないところはまだまだたくさんあります。着実に進められるよう、一人にならず、足を動かしながら仕事に取り組むチームができあがると良いと思っています。

 

 

杉山 宗志

ときわ会グループ

 

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ときわ会グループ 

地域の課題設定、解決に取り組むべく、現在は福島県浜通りにて活動中。医療・介護・教育を軸とした事業を展開するときわ会グループに勤務。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院工学系研究科建築学専攻修士課程終了。東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム修了。

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

連載医療従事者が本音で語る「日本社会」の現状~GGO For Doctor

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