(※画像はイメージです/PIXTA)

子どものころは自然と友達ができていた人が多いでしょう。社会人になると、なかなか新しい友達はできにくくなります。それはなぜでしょうか、精神科医が解説します。※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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「出会いの数」が少ない人の習慣

■「大人になったら親友ができない」はウソ

 

みなさんにも心当たりがあるかもしれませんが、一般的に「親友」と言ったとき、社会に出る前に培った友人関係を指すことが多いようです。

 

大人になってからは仕事関係で出会う人が多くなり、遠慮も働いてズケズケとモノを言ったりできず、なかなか親しい間柄にならない。そういう話はよく聞きます。

 

たしかに子ども時代の友人というのは、長い時間を共有してきているので、他に代えがたい存在かもしれません。

 

でも、大人になったら親友ができない、というのはウソです。

 

私が見ている限りでも、介護に悩む人たちが集う場で50代、60代の人たちが仲よくなり、お互いにいろんな相談をして支え合っている姿がありますし、定年退職後に将棋クラブなどで切磋琢磨するうちに、いい飲み仲間になって楽しい時間を過ごせるという姿もあります。

 

私自身、幼いころはいじめられっ子で、なかなかうまく親友と呼べる友人を作ることができませんでした。むしろ大人になってから出会った人のほうが、何でも言い合えるよい関係、尊敬できる関係を築いているように思います。

 

では、大人になってから親友と呼べる存在がいない人は、いったい何が問題になっているのでしょうか。

 

ひとつには、「大人になってからは友達が作りにくい」「大人になってからの友達には本音を言いにくい」という思い込みが、メンタルブロックになっていること。

 

もうひとつは、「現代版・会社人間」に陥っていること。

 

ひと昔前の「会社人間」とは、仕事に一途で、会社が生活のすべてであるという人のことを言いました。すべてが仕事優先で、趣味もなく、会社のためにプライベートを犠牲にしても厭わないという人です。モーレツサラリーマンなんていう言い方もされましたね。

 

でも「現代版・会社人間」は、会社に滅私奉公をするつもりはさらさらなく、プライベートも大事にしたい。それでも会社と自宅にしか自分の世界がない、という人です。

 

モーレツに仕事をしたいわけでもないのに、居場所だけは会社人間とまったく同じ。

 

毎日が会社と自宅の往復ばかりで、そこだけにしか自分の世界がない。それが「現代版・会社人間」です。

 

自宅というのは基本的にはひとり、もしくは家族など身内だけの世界ですから、社会とつながれるのは会社オンリーになってしまう。人との出会いのほとんどが会社の人間、仕事関係の人間に限られてしまう。

 

つまり、出会いの数が少なすぎる。出会う人全員と親友になれるわけではありませんから、出会いが少なければ、それだけ親友になれる人との出会いの可能性も少なくなってしまうのです。

 

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