予算管理表を作る①月別目標利益計画
■予算管理の手順
予算管理表は、A4用紙一枚の経営計画の月別目標利益計画の内容を詳細に管理する場合に、A4用紙一枚の経営計画とは別に作成します。具体的には、月別目標利益計画で計画の数値と実際の数値に差異が生じた場合は、予算管理表をもとに、科目別に原因を分析して対策を立てていきます。
■年度予算は年度の目標利益計画を基準として作る
年度予算は、年度単位の目標利益計画を基準に作成し、支店がある場合は、支店単位で予算管理を行います。本店と支店を一緒にして管理し、支店からは月次の売上のみを本社に報告して終わりにしているケースがありますが、これでは、どこで利益が出ているのかがわからないうえ、責任の所在もあいまいになります。
そこで、全社レベルの予算管理だけでなく、支店単位の予算管理化が必要です。なお、支店単位の予算管理を行う場合、本社経費の取り扱いに留意します。基本的には、本社経費は本社で予算管理をします。本社経費を支店に配分している例をよく見かけますが、その場合は、配分基準を明確にし、各支店で不公平のないように注意する必要があります。
また仮に、本社経費を支店に配分したとしても、あくまでもその管理は本社が行うことを忘れないでください。
■月次予算は、年度予算を割りふって作る
基本的に月次予算は、年度予算を月次に割りふって作成します。ただ、季節変動で業績が左右される会社は、それを考慮に入れます。予算管理表は、当月までの累計の計画、実績、差額と月別の計画、実績、差額を作成していくのが一般的です。
A4用紙一枚の経営計画には、補足する書類も必要。
ワンポイント
目標利益計画をもとに、さらに詳細の予算管理表も作ってみよう。
予算管理表を作る②予算は管理して初めて効果が
■月次決算を行う
月次決算を行わないと、期末の決算時まで儲かっているのか損しているのかわからず、その間、何もできなくなります。月次の試算表は、計画経営には必須です。また、支店単位に作成されていない場合は、伝票の起票段階で支店別に区別するなど事務手続きを変更して、支店別に試算表ができるようにします。
■差異分析を行う
計画と実績に差額が生じた場合は、その原因分析をします。これをおろそかにしては、予算管理を行う意味がありません。そして、原因を把握したら、対策を早急に実施することです。仕事のやり方が悪い、決まったことを実施していない、あるいは方針に間違いがあった場合は、責任者を指導し、軌道修正します。
■予算管理表のメリット
予算管理のメリットについて、経営者と社員の立場に分けてまとめておきましょう。まず、経営者にとっては、「経営計画の達成状況をリアルタイムで把握できる」「予測される環境変化に注意を払うことができる」「責任を明確にすることができる」という点が挙げられます。
一方、管理者にとっては、「何をすればよいのかが明確になる」「業績を測定する基準が明確になる」という点がメリットとなります。最後に、一般社員にとっては、「目標数値が明確になる」「費用を意識した行動がとれる」という点が挙げられます。
■予算管理を行ううえでの注意点
一方、注意点としては、
①予算は、予測や見積りにもとづいて作成した計画なので、環境の変化等に応じた修正が必要(安易な修正は不可)
②予算は作成しただけでは効果がなく、きちんと管理して初めて効果が出るものという認識をする。
予算管理が実際に効果を十分に上げるためには、経営者から一般社員まで全社レベルでの理解と協力を得られることが大切です。どんなに素晴らしい予算ができても、その予算を達成しようと会社全体で取り組んでいく姿勢がなければいけません。
月次の予算管理表で計画と実績を管理すると問題点がさらにクリアになる。
具体的行動
月次管理していく予算科目をきちんと吟味して毎月の計画と実績を管理していこう。
宮内 健次
中小企業診断士 社会保険労務士