(※写真はイメージです/PIXTA)

築40年の賃貸戸建て。耐震診断で「倒壊の可能性あり」と指摘されたため、賃貸人は立ち退き交渉をしましたが、貸借人に拒否されてしまいました。この場合、契約解除は認められるのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、実際の裁判例をもとに解説します。※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

裁判を起こす場合「老朽化の見極め」が重要

この裁判所の判断の肝となったのは、やはり老朽化の程度がそれほど著しくなかったことが原因と考えられます。

 

老朽化を判断するにあたっては、単に築年数の経過だけでは足らず、実際に倒壊の危険性があることも必要となってきますが、この点についても、裁判所としては、耐震診断における上部構造評点が単に1.0を下回っているだけでは足らず、0.7に近い数字であることが必要であるようにも解釈できます。

 

このように老朽化の程度が著しいとまで言えない場合には、賃貸人側としてその賃貸物件の使用や処分の必要性についてかなり高度な必要性が認められる必要(単に処分した方が利益があるというだけでは足りないと考えられます)がありますが、賃貸人がその賃貸物件を使用・処分すべき切迫した必要性があるというケースはそれほど多くはないのも実情です。

 

したがって、賃貸人側として、裁判を起こす場合には老朽化の程度の見極めが重要であり、これにより立退きの成否が決せられることを肝に銘じて見通しを立てる必要があります。

 

※この記事は2019年3月4日時点の情報に基づいて書かれています。

 

 

北村 亮典

弁護士

こすぎ法律事務所

 

 

 

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