【関連記事】賃貸物件の立ち退き問題…「老朽化に伴う耐震補強工事」が正当事由にならないケース【弁護士が解説】
築40年の戸建てに20年住む賃借人…契約解除できる?
【賃貸人からの相談】
私は、築40年の賃貸戸建を父から相続しました。
この物件には20年ほど住んでいる賃借人がいますが、賃料が月6万円であり、他方で、耐震診断をしたところ上部構造評点が「0.96」で「倒壊の可能性有り」と指摘されました。
賃料も安く、修繕や耐震工事をするのもお金がかかるので、更地にして売却しようと考え、賃借人に立ち退きの交渉をしました。
賃料半年分ほどの立退料を提供すると申し出ましたが、賃借人からは「遺族年金で暮らしていて、引っ越す余裕もないし、長く暮らしてきたからここから出たくない」と言われ、立ち退きを拒まれています。
このような場合、裁判を起こせば立ち退きが認められるのでしょうか。
【説明】
賃貸人として、賃貸借契約を解約する場合には、老朽化を理由とした賃貸借契約の解約の申入れを行う必要があります。この解約の申入れを行うことにより、解約申入れ時から6ヶ月を経過すれば賃貸借契約は終了となります(借地借家法27条1項)。
しかし、賃貸人からの解約の申入れは、それをしただけでは当然に解約が認められるわけではなく、賃借人が解約を拒んだ場合には、解約の申入れに「正当事由」がなければ、解約の効力が生じません。
この解約申入れの「正当事由」を判断するにあたっては、建物賃貸人及び建物賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに立退料の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して判断されます(借地借家法28条)。
本件のように建物の老朽化を解約の理由とする場合、老朽化だけでは正当事由は認められず、妥当な金額の「立退料」の提供が必要とされるケースが非常に多いです。
しかし、立退料を提供しても「正当事由」が認められないというケースもあり、賃貸人側としては難しい判断を迫られる場合も多いです。それがまさに本件の事例です。
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