認知症=アルツハイマー型と認識している人が多くいます。実際は、さまざまな種類があり、「治り得る認知症」も存在するのですが、医師ですら診療経験の乏しさゆえに見逃してしまうことが少なくありません。ここでは医療法人昭友会・埼玉森林病院院長の磯野浩氏が、家族が気づきたい「“4種類”の認知症の予兆」について説明していきます。
「甘いものが好きになった」など…前頭側頭型の特徴
しかし他の認知症と同様、本人にはまったく病識がありません。一方、認知症の典型的な症状とされる記憶障害はあまり見られません。それもこのタイプの認知症の大きな特徴です。
〈前頭側頭型認知症の特徴〉
□以前よりも怒りっぽくなった
□最近、嗜好の変化があり、甘いものが好きになった
□些細なことで、いきなり怒り出す
□こだわりがある、まとめ買いをする
□決まった時間に決まったことをしないと気が済まない
□コロコロと気が変わりやすい
□万引きなどの反社会的行動がある
□じっとしていられない
□同じ経路でぐるぐると歩き回ることがある
※各タイプの特徴は、「認知症病型分類質問票43項目版」(DDQ-43)より作成しました。ただし各タイプにおいてこれらのすべてが出現するという意味ではありません。
磯野 浩
医療法人昭友会 埼玉森林病院 院長
医療法人昭友会 埼玉森林病院 院長
昭和大学医学部を卒業し、精神医学教室入局。昭和大学病院等に勤務。
20数年ほど前から老年精神医学を専門にし、浴風会病院勤務時は認知症の脳の病理解剖診断も多数経験した。
並行して品川区大井保健相談所での老人精神保健相談も務め、訪問診療も積極的に行い、臨床の経験も重ねる。
2007年4月~埼玉森林病院副院長。
2009年4月~埼玉森林病院院長に。現在に至る。
2004年 日本老年精神医学会 学会奨励賞。「レビー小体型痴呆の臨床的特徴と診断基準の有用性について」
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連載老年医学の専門医が解説「認知症診断の不都合な真実」