「認知症にはいくつもの種類がある」4種別チェックリスト…“返答が遅い”“怒りっぽい”など

「認知症にはいくつもの種類がある」4種別チェックリスト…“返答が遅い”“怒りっぽい”など
(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症=アルツハイマー型と認識している人が多くいます。実際は、さまざまな種類があり、「治り得る認知症」も存在するのですが、医師ですら診療経験の乏しさゆえに見逃してしまうことが少なくありません。ここでは医療法人昭友会・埼玉森林病院院長の磯野浩氏が、家族が気づきたい「“4種類”の認知症の予兆」について説明していきます。

アルツハイマー型だけではない…認知症の「種類」

認知症=アルツハイマー型認知症と思われがちですが、これは大きな誤解です。そもそも認知症は、認知機能が損なわれかつ、日常生活に支障が生じている状態の総称であり、病名ではありません。

 

アルツハイマー型認知症は確かに、認知症の原因となる代表的な疾患ではありますが、ほかにも、認知症状態を引き起こす病気はあります。

 

一般的には、アルツハイマー型認知症は認知症全体の6割程度であり、血管性、レビー小体型、前頭側頭型と続きます。そして1割程度「治り得る認知症」も存在します。

 

認知症は治らない、との一般認識が広まっているために、対処が遅れ重篤化してしまうことが問題となっています。

 

●アルツハイマー型認知症

 

加齢により、アミロイドβ(老人班)と呼ばれる脳内で作られたタンパク質の一種が蓄積し、脳神経細胞を死滅させるために、脳萎縮が進む病気です。主症状および最初に出る症状はもの忘れであることが多く、他人に対して取り繕ったりごまかしたりすることが、他の認知症と比べ特筆すべき特徴です。

 

〈アルツハイマー型認知症の特徴〉

 

□最初の症状はもの忘れ

□もの忘れがおもな症状である

□置き忘れやしまい忘れが目立つ

□お金など大切なものが見つからないと、盗られたと言う

□日時が分からなくなる

□できないことに言い訳をする

□他人の前では取り繕う

 

●血管性認知症

 

脳梗塞や脳出血等の脳血管障害による発作を機に脳細胞が部分的に死滅し、機能低下を起こす病気です。発作を起こしていなくても、脳内で細い血管が詰まり小さな梗塞が生じ、それが度重なることで認知症の引き金になる場合もあります。

 

おもな症状としては、体の麻痺などの運動障害とともに記憶障害や思考力の低下、情緒不安定などが挙げられます。

 

アルツハイマー型認知症では、病気の進行に伴い、認知機能全般にわたり、徐々に機能低下していくのに対し、血管性認知症では、もの忘れが顕著でも、判断力はしっかりしていたり、同じ事柄でもできる日とできない日があったりするなど、症状の出かたが一定ではないことがあります。

 

これは「まだら認知症」とも呼ばれ、脳梗塞や脳出血などで、脳内で障害されている場所が限局的であることから起こる、血管性認知症の特徴の一つといえます。また、アルツハイマー型認知症を併発しているケースも少なくなく、病名で明確に分けるのが難しいとされます。

 

〈血管性認知症の特徴〉

 

□脳梗塞や脳出血の発作後に発症する

(ただし、発作を起こしていなくても発症する場合もある)

□手足に麻痺がある

□しゃべるのが遅く、言葉が不明瞭

□のみ込みにくく、むせることがある

□動作が緩慢になった

□悲観的、やる気がない

□思考が鈍く、返答が遅い

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※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

認知症診断の不都合な真実

認知症診断の不都合な真実

磯野 浩

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会に突入した日本において、認知症はもはや国民病になりつつあります。そんななか、「認知症」という「誤診」の多発が問題視されています。 高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースが多く、それらが関連しあ…

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