「小股で歩く」「悲観的」など…レビー小体型の特徴
●レビー小体型認知症
レビー小体と呼ばれる、脳内で作られるタンパク質の一種が大脳皮質や脳幹の神経細胞に蓄積することで起こる認知症です。
アルツハイマー型認知症で見られるような記憶障害や判断力の低下のほかに、幻視などの幻覚がよく見られるのがこの認知症の大きな特徴です。
これは、視覚をつかさどる後頭葉の大脳皮質にレビー小体が蓄積しやすいためです。
また、手がふるえる、前屈みなど体がこわばったようになる、体のバランスをとりにくい、表情が乏しくなるなどの、パーキンソン病様の症状も出やすくなります。うつ傾向も多くの場合で見られます。
このため、医療機関側にとっては、パーキンソン病やうつ病との鑑別診断が重要になってきます。アルツハイマー型認知症と同様に進行性ではあるものの、レビー小体型認知症は症状が軽快したり悪化したりを繰り返しながら、徐々に進行していきます。
日によって調子が良いときと悪いときの差が大きいのが特徴です。
さらに、レム睡眠行動障害といって、いったん寝ついてから、30分~1時間すると、夢でうなされ大声を出したり、夢と現実の区別がつかず騒ぎ出すといった症状も診断に重要です。
〈レビー小体型認知症の特徴〉
□実際にはいない人や動物、物が見える。誰かが家の中にいると言う
□見えたものに対して話しかける、追い払うなど反応する
□介護者など、身近な人を別人と間違える
□動作が緩慢になった
□小股で歩く
□睡眠中に大声や異常な行動(体動)をとる
□失神や立ちくらみがある
□悲観的である
□頭がはっきりしているときと、そうでないときの差が激しい
●前頭側頭型認知症
何らかの原因で前頭葉や側頭葉が萎縮し起こる認知症です。
発症機序は明確になっていないものの、前頭側頭型認知症の8割程度は、神経細胞にピック球と呼ばれる病変があらわれる「ピック病」であるといわれています。
40~60代と比較的若い世代の発症率が高く、比較的初期のうちから性格が急に変わったようになり、行動異常を伴うことが特徴の一つです。
行動異常とは、例えば同じ行動を繰り返す、反社会的な行動が見られる、集中力や自発性の低下、などが挙げられます。店で未精算の品物を持ちだしたり、信号無視をしたりなどのルール違反を罪悪感なしにしてしまうこともよくあります。