「お母さん、私にはもう無理」…介護に尽くした娘の涙に78歳母、猛省。きっかけは、冷たい浴室の床に倒れ込んだ夜

「お母さん、私にはもう無理」…介護に尽くした娘の涙に78歳母、猛省。きっかけは、冷たい浴室の床に倒れ込んだ夜
(※写真はイメージです/PIXTA)

長寿化が進む日本では、介護はもはや一部の家庭だけの問題ではありません。しかし、家族の支えだけを前提にした介護は、介護する側の仕事や人生、そして親子関係までも追い詰めてしまうことがあります。今回は、一人娘を頼りに暮らしてきた78歳女性の事例を通して、「娘だから」「家族だから」という思い込みが招いた現実と、介護を抱え込まないために必要な備えについて見ていきましょう。

「娘が面倒見てくれるから」

「お母さん、ごめん……もう私には無理」

 

奈緒さんの震えるような涙声を聞いた佐代子さん(78歳)は、言葉を失いました。

 

8年前に夫を亡くして以降、佐代子さんは一人暮らしを続けていました。しかし、心配した一人娘の奈緒さん(当時40歳)が実家へ戻り、二人の生活がスタート。奈緒さんは未婚で、地元企業の事務職として働いていました。

 

「私も一人でいるより、お母さんのそばにいたほうが楽しいし安心だから」

 

そう言って戻ってきた奈緒さんの存在は、佐代子さんにとって何よりの安心でした。ところが、穏やかな暮らしは長く続きませんでした。

 

73歳のある日、佐代子さんは自宅で転倒して大腿骨を骨折。手術とリハビリを経て退院したものの、以前のように自由に歩くことはできなくなりました。買い物や掃除だけでなく、入浴や着替えにも手助けが必要になり、奈緒さんが仕事の前後に身の回りの世話をする生活が始まったのです。

 

要介護2の認定を受け、ケアマネジャーからは訪問介護やデイサービスの利用を勧められました。しかし、見知らぬ人の世話になることに、佐代子さんは抵抗がありました。

 

「奈緒がいるんだから十分」

 

そう言って、公的サービスをほとんど利用しようとはしませんでした。

 

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