地主として広い土地を承継してきた一家。長女は70代後半の父親の相続を心配して対策の術を探るうち、相続税額を知って絶句します。父親の資産は不動産に大きく偏り、納税資金の捻出には、土地の一部売却しか手がありません。しかし、豪奢な自宅が建っている位置が問題となり…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
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広い敷地の中心に建つ邸宅、どの窓からも庭の樹木が…
今回の相談者は50代女性の佐々木さんです。今年で70代後半に差し掛かる父親の相続対策のため、親子で筆者の事務所に訪れました。
佐々木さんの父親は、先代から自宅の土地として250坪を相続しています。250坪のうち、西側部分の50坪にアパートを建設しており、残り200坪は自宅の敷地となっています。築古とはいえ豪奢な自宅建物は、200坪部分のちょうど中心に建築されており、部屋のどこからも緑豊かな庭が一望できるようになっています。庭は大きな樹木も多く、手入れには毎年高額な費用が必要です。
父親の相続人となるのは、配偶者(佐々木さんの母親)、長女で相談者の佐々木さん、次女・三女の妹ふたりの、合計4人です。佐々木さんは結婚して自宅を出ていますが、ふたりの妹は独身です。次女は自宅に両親と同居、三女は敷地内のアパートの1室に暮らしています。
父の財産のなかでいちばん大きいものは自宅不動産です。収益不動産として、同じ敷地内に8室のワンルームアパートを建てているほか、近隣に法人向けの貸宅地を所有しており、そこに大手企業が社宅を建設しています。
アパートと貸し宅地の家賃収入で、比較的余裕がありそうですが、固定資産税が高額なため、ほとんど生活費に消えてしまうそうです。
この状況で相続が発生したらどうなるのかと不安になった佐々木さんは、父親が元気なうちに対策を立てておきたいと考えています。
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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