真面目な公務員の弟と、ギャンブル依存の兄。父親はついに兄を見限りますが、それでも兄の素行は変わりません。子どものいない弟夫婦は億単位の資産を築きましたが、弟は、自分に万一のことがあったら相続問題に兄が食い込み、妻が大変なことになると気が気ではありません。実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
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ギャンブル依存の兄は、父の財産を食い散らし…
今回の相談者は50代男性の香川さんです。ギャンブル依存のある2歳上の兄のことで相談に見えました。
兄の浪費行動は学生時代からで、ギャンブルで負けたり、高額な商品を衝動買いしたりしては両親に泣きつき、就職してからも親への無心はしょっちゅうでした。消費者ローンの返済を肩代わりさせたことも、一度や二度ではありません。
たびたび繰り返される兄の行動に呆れた父親は、「これまでの借金は帳消しにしてやるが、その代わりお前は勘当だ。相続で何かもらおうなどと思うな!」と申し渡し、実際に家庭裁判所で遺留分放棄の手続きもさせていました。
香川さんの父親は代々の地主で、かなりの資産家です。また、勘当した兄のこともあってすでに遺言書を準備しており、都内一等地にある広い自宅は、同居する香川さんが相続することが親族間でも決まっています。兄は父親の財産に対して遺留分放棄していることから、特段の問題はなさそうでした。
しかし、こうした状況でもなお兄は「金に困っている」と母親に泣きつき、ときには香川さんの仕事帰りを待ち伏せるといった困った行動に出るのでした。
母親は兄を突き離せず、自分の年金や預金を切り崩して渡しているようです。そのため、いつまでたっても兄の行動に改善の余地が見られません。そして先日、「職場の最寄り駅でお兄さんを見かけたような気がする」という妻の言葉を聞いて戦慄し、なんとか対処しなければと、筆者の事務所に訪れたということでした。
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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