(※画像はイメージです/PIXTA)

読書には「自分」を知るという効用があります。例えば、過去に読んできた本には、あなたが目指してきたものが隠されています。何に興味を持っているのか、面白いと思うものは何なのか、好きなのはどんな世界観なのか、さまざまな事柄を浮き彫りにしてくれます。※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

子ども時代に読んだ本は鮮烈な印象を残す

■お手本にすべき人は本のなかにいる

「ロールモデル」という言葉があります。「お手本になる人」という意味ですが、このロールモデルも本のなかに見出すことができます。

 

サラリーマンが池井戸潤さんの企業小説や藤沢周平さんの時代小説などを読んで、登場人物に自分を重ね合わせることはよくあることです。

 

フィクションだとわかっていても、登場人物の失敗や挫折が他人事とは思えず、彼らがたくましくその境遇を乗り越えていくのを固唾をのんで見守ってしまう。「よし、オレも頑張ろう」と思わせてもらえます。

 

現実に生きる人間は複雑で、それこそが人の魅力でもあるのですが、お手本にするには複雑すぎるきらいもあります。

 

しかし、小説に登場する人物のどういう部分が好きかというのは、文字で書かれているぶん、自分でも把握がしやすいのです。

 

どんなふうに人生を歩んでいきたいのか。
困難にどう立ち向かえばいいのか。
自分はどんな人間になりたいのか。

 

それらの難しい問いに、比較的、明確な答えをくれるのが、小説のなかの登場人物だと言えるでしょう。

 

私の知り合いの女性編集者はこう言っていました。

 

「実家に久しぶりに帰ったときに押入れの整理をしたら、子ども時代に読んだ本が出てきてすごく懐かしかったんです。なかでも『マチルダは小さな大天才』という児童書が大好きで、自分もこの主人公のような女の子になりたいと本気で思っていたのに、すっかり忘れていました。ちょっと反省しましたよ」

 

子ども時代に読んだ本というのは、鮮烈なイメージを残すものです。大人になってからは読書の習慣がなくなってしまったという人は、子ども時代に読んだ本を思い出してみるといいかもしれません。もしも今、孤独であるとあなたが感じているなら、なおさらひとりの時間があるはず。

 

子どものころですから、「世界を救うヒーローになりたかった」とか「正義の味方になりたかった」など、いまからすると突拍子もないことを考えていたかもしれません。

 

もちろん、ヒーローそのものになるのは無理です。

 

でも、それを「無理だ」と切り捨てるのではなく、

 

「そのヒーローのどういう部分に憧れたのか」
「今の自分に取り入れられるところはどこか」

 

こう考えてみてください。

 

自分のことがほんの少し見えてくると思いますよ。

 

 

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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