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なぜ読書こそ最大の「体験」だといえるのか
■知的に武装する
自分の頭でものごとを考えるには、知識と見識が必要です。そして、自分の頭でものごとを考える習慣が身につけば、知識や見識もおのずとついてきます。
知識や見識なんていうと「難しそう」と身構えられてしまうかもしれませんが、じつはこれは日々の心がけ次第で誰でも訓練することが可能です。
まずあなたが心がけるべきなのは、言葉のセンスを磨くこと。なぜなら、思考は言語が形づくるものだからです。
言葉を知らなければ、あなたの内側にあるぼんやりとした感情に、明確な形を与えることができません。
いろんな言葉、いろんな表現のしかたを知って、たくさんの言葉を自分の内側に蓄える。すると、それまで曖昧だった自分の感情が次第に言葉で言い表せるようになります。
言葉を与えられた感情は、あなたの脳のなかでさまざまな方向に展開します。こうしたくり返しによって、次第に思考が深まっていくのです。
そのための近道は、いうまでもなく「読書」です。
普段からなるべくたくさん活字に接するようにすること。小説、哲学書、心理学や社会学、歴史の本、自己啓発書、ビジネス書、自然科学の本、実用書、週刊誌などいろんなジャンルを横断的に読むのが理想でしょう。
読書に「座学」というイメージを持っていて、実際に自分が体験したことには及ばないと考えている人もいるかもしれませんが、登場人物の感情を追体験し、著者の見識を学び、言葉で表現された思考を読み取るという訓練も、間違いなくあなたの「体験」のひとつになります。
現実の世界で個人が体験できる事柄にはかぎりがありますが、読書の大海原にはかぎりがありません。読書はあなたが実際には体験できないことも含めて、さまざまな「体験」をさせてくれる非常に優秀な教師なのです。
そして、あなたの感情に言葉を与え、論理的な思考ができるように知的に武装するためのツールでもあるわけです。
■「謙虚さ」は知識によって育まれる
よく言われることですが、知識というのは「島」のようなものです。
人は生まれ落ちたときには無知の存在です。成長するにしたがい、さまざまなことを学び、覚え、知識を蓄えていきます。こうして知識が増えるほど、普通は知らないことが減っていくと思うでしょう。学校の宿題だって、やればやっただけ減っていきます。
ところが、知識の場合は反対なのです。
知れば知るほど、どんどんわからないことが増えていく。