【関連記事】トイレで“ぼっち飯”?…どうしたら孤独に飲み込まれないのか
読書には「自分」を知るという効用がある
■「自分」のことほどわからないのも自分
不思議なことに、自分のことが一番よくわかるのも自分ですが、自分のことが一番わからないのも自分であるといえます。
知識は知れば知るほど、どんどんわからないことが増えていく、「知識は“島”みたいなものである」という話と似ていますね。自分のことを知れば知るほど、自分のことがよくわからなくなる。(第4回「みんなバカばっかりだ…」と思う人が「わかっていないこと」参照)
「自分」の不思議な部分です。
ですから、「自分らしさを見つけよう」とか「自分の得意ジャンルを伸ばそう」などと言われても、何をどうしていいのか見当もつかないという人は、きっと多いはず。
じつは、そんなときにヒントをくれるのも読書なのです。
読書には「自分」を知るという効用もあるからです。
あなたの書棚に並んでいる本を眺めてみましょう。どんなタイトルの本が並んでいますか? どんな傾向の本が多いですか?
過去に読んできた本には、あなたが目指してきたものが隠されています。
あなたが何に興味を持っているのか、あなたが面白いと思うものは何なのか、あなたが好きなのはどんな世界観なのか、さまざまな事柄を浮き彫りにしてくれます。
「手当たり次第に読んできたようでも、好みの基準があって、それがいまの自分を作っているんだなと気がつく」
これは、ある大学教授の言葉です。過去に読んできた本を再び手に取ってみると、自分の目指していたものがはっきりと見えてきて、次に自分がどうするべきか、テーマが浮かんでくるのだそうです。私もそのとおりだと思います。
自分の輪郭があやふやになっているときには、書棚を眺めて、過去の読書を思い出してみましょう。過去に読んだ本が「自分」のことを教えてくれます。そして、あなたの次なるテーマも、おぼろげながらであっても浮かんでくることと思います。
「積読(つんどく)」という言葉がありますが、たとえ買っただけで読んでいなくても、あなたの興味の一端を垣間見ることはできますよ。
「なぜ自分がその本を買ったのか」ということに思いを馳せながら、今度こそ最後まで読み通してみるのも一興でしょう。