合併症もさまざま…早期にCKDを見つけるには
腎機能の指標、GFR具合は悪くないとしても、体の中ではじわじわと病気が進んでおり、むくみなどの自覚症状が出る頃には、かなり進行してしまっています。したがって早期の段階でCKDを見つけるには、健康診断での検査数値が頼りとなります。
では検査で何をみるのか。キーとなるのは「GFR(Glomerular Filtration Rate)」です。GFRとは「糸球体ろ過量」の略で、フィルターの役目を果たす糸球体が1分間にどれくらいの血液をろ過し、尿をつくれるかを表します。
実際の検査では、血清クレアチニン値と年齢、性別から推算する、「推算糸球体ろ過量(eGFR:estimated GlomerularFiltration Rate)」が使用されています。eGFRの値が低いほど、腎機能は低下しているとされ、検査ではeGFR値の範囲によって6段階に分けて評価するのが一般的です。
なお、CKDの重症度はeGFRだけでは決まりません。糖尿病性腎症の場合なら尿アルブミン、腎炎の場合は尿たんぱくなど、原疾患によって見る項目が分かれ、それとeGFRとの総合で判断されます([図表1]参照)。
GFRは加齢による自然な老化でも低下していきますが、GFR50mL/分/1.73㎡未満の患者さんは2倍以上の速さで腎機能が低下する、とのシミュレーションもあります。
このGFRは、心筋梗塞や脳卒中といった、命に関わる疾患(心血管イベント)の発症リスクに強い関係のあることが分かっています。GFRが低いほど、発症リスクが高くなるのです。GFRが30未満になると腎不全と呼ばれ、次のようなさまざまな合併症が出現しやすくなります。
●尿が出ない
●老廃物や余分な水分、ナトリウムなどが蓄積
●尿毒症
このうち尿毒症は、本来排出されるべき老廃物や毒素がたまることで起こる症状の総称で、症状としては[図表2]のようなものが挙げられます。
このなかでも、受診理由として多いのは、「高血圧、嘔気、頭痛、脱力感、食欲不振」などです。多くの方は、こうした症状がつらく感じられて受診されるのですが、すでに腎臓は健常な人の3割も働けなくなっており、しかも機能を回復させることができません。