「対症療法で緩和するしかない」状態に…
いかにこれ以上低下させないか、が治療目標になってしまうので、つらい症状を根本的に改善することは不可能なのです。対症療法で緩和するしかない、ということです。
ここで徹底的に栄養や水分の管理をすれば、その方の年齢にもよりますが、透析を免れる可能性はゼロではありません。しかし、ほとんどの場合、治療を行っても腎臓機能は緩やかに低下していき、末期腎不全に至ります。
腎不全が進むと前述のような尿毒症の症状が強まり、生活に支障をきたすようになります。いわゆる生活の質(QOL)や日常生活動作(身支度、食事、排泄といった日頃の生活で行う動作:ADL)が著しく低下していきます。患者さんには、こうした心身への負担とともに、ケアに必要な費用もかさむため、経済的な負担も大きくなってきます。
それを回避するためにも、腎臓機能の低下は早期に見つけ、早期に治療開始するほうが望ましいのです。
鈴木 孝子
南青山内科クリニック 院長