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新たな国民病…成人の8人に1人が「慢性腎臓病」
日本は今や世界有数の超高齢社会。いわゆる団塊の世代が2025年頃まで続々と、後期高齢者となっていきます。
この世代は1970年代以降、食生活が欧米化した時期に青年~壮年期を迎えており、脂質や糖質への栄養の偏りが指摘された最初の世代といえます。糖尿病や高血圧といった生活習慣病の有病率も高い傾向があります。
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)も例外ではありません。患者数推計は1300万人超、成人の8人に1人がかかっているとされ、新たな国民病ともいわれています。CKDには先天性の腎疾患も含まれるものの、多くは糖尿病を原疾患とする糖尿病性腎症で、CKD全体の6~7割を占めるともいわれています。
糖尿病の数は、予備群も含め今や2000万人との推計もでています。なかでも60歳以上の男性に多く、中高年では4~5人に1人は糖尿病にかかっているとのデータもあります。
CKDはこの糖尿病の、数ある合併症の1つです。医学の発達をもってしても、ひとたび低下した腎機能を回復させる治療法は確立されておらず、いかに機能低下を遅らせるかが治療の目的になります。
それでも、腎不全となり人工的に機能を補う、すなわち透析に至る患者の数は、年々増え続けているのが現状です。
日本透析医学会が毎年発表する「わが国の慢性透析療法の現況」によると、2019年末時点での透析患者数は約34万5000人。性別が判明している数のうち男性が約21万9000人、女性が約11万4000人となっています。1968年の調査開始以来、日本の透析人口は増加の一途をたどり、ここ数年では毎年5000人前後増えています。
この数値のなかには、糖尿病性腎症以外の腎臓病患者も含まれます。透析患者の主な原疾患はほかに、慢性糸球体腎炎や腎硬化症などがあります。1990年代後半まで、透析の原疾患は慢性糸球体腎炎が1位でしたが、それ以降は糖尿病性腎症が1位になっており、透析患者さん全体の約4割を占めます。