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「命をも左右」…タンパク質を減らす弊害
CKD(慢性腎臓病)患者さんの場合、重症度が進むとリンの制限も求められるようになってきます。リンはタンパク質に多く含まれますので、タンパク質を摂らないようにすればリンも自ずと制限できる、という考え方が一般的になっています。
しかし、やみくもにタンパク質を減らしてしまうと、体に必要とされる分まで不足してしまいます。
例えば筋肉をつくるにはタンパク質が不可欠ですし、内臓や血管などの臓器、組織にもタンパク質は欠かせません。
そもそも、私たちの体を構成している細胞はアミノ酸からできています。これはタンパク質が分解された結果できる最小単位の物質です。タンパク質を極端に減らしてしまうことは、命をも左右しかねないのです。
そこで覚えておきたいのが、リンの吸収率です。リンを含む食べ物を口にしても、そこに含まれているリンをすべて体にとり込んでしまうわけではありません。体への吸収率が高いリンと、そうでもないリンがあるのです。前者を無機リン、後者を有機リンといいます。
吸収率の高い無機リンは、主に加工食品に含まれています。例えばインスタント食品、菓子、練り製品、ハムやソーセージなどです。これらに含まれるリンは90%以上、吸収されることが分かっています。
一方、吸収率が高くない有機リンは、肉や魚などの動物性タンパク質および、大豆などの植物性タンパク質が多い食材に含まれています。動物性の食品に含まれるリンの吸収率は40~60%、植物性の食品に含まれるリンの吸収率は20~40%程度です。