(※写真はイメージです/PIXTA)

腎不全が進行すると、人工的に血液の浄化を行う「人工透析」治療の必要に迫られます。透析が必要となる手前では、医師から食事制限を課されることになりますが、どのくらいまで減らさなければならないのか…?と疑問を抱いている患者さんも多いようです。ここでは、リンにまつわる「腎臓病患者が食事で気をつけたいこと」について、腎臓内科医・南青山内科クリニック院長の鈴木孝子氏が解説していきます。

 

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「命をも左右」…タンパク質を減らす弊害

CKD(慢性腎臓病)患者さんの場合、重症度が進むとリンの制限も求められるようになってきます。リンはタンパク質に多く含まれますので、タンパク質を摂らないようにすればリンも自ずと制限できる、という考え方が一般的になっています。

 

しかし、やみくもにタンパク質を減らしてしまうと、体に必要とされる分まで不足してしまいます。

 

例えば筋肉をつくるにはタンパク質が不可欠ですし、内臓や血管などの臓器、組織にもタンパク質は欠かせません。

 

そもそも、私たちの体を構成している細胞はアミノ酸からできています。これはタンパク質が分解された結果できる最小単位の物質です。タンパク質を極端に減らしてしまうことは、命をも左右しかねないのです。

 

そこで覚えておきたいのが、リンの吸収率です。リンを含む食べ物を口にしても、そこに含まれているリンをすべて体にとり込んでしまうわけではありません。体への吸収率が高いリンと、そうでもないリンがあるのです。前者を無機リン、後者を有機リンといいます。

 

出典:MediPres透析サイトより
[図表]リンの種類と体内への吸収率 出典:MediPres透析サイトより

 

吸収率の高い無機リンは、主に加工食品に含まれています。例えばインスタント食品、菓子、練り製品、ハムやソーセージなどです。これらに含まれるリンは90%以上、吸収されることが分かっています。

 

一方、吸収率が高くない有機リンは、肉や魚などの動物性タンパク質および、大豆などの植物性タンパク質が多い食材に含まれています。動物性の食品に含まれるリンの吸収率は40~60%、植物性の食品に含まれるリンの吸収率は20~40%程度です。

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※本連載は、鈴木孝子氏の著書『「生涯現役」をかなえる在宅透析』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生涯現役」をかなえる在宅透析

「生涯現役」をかなえる在宅透析

鈴木 孝子

幻冬舎メディアコンサルティング

わが国で透析といえば一般的に、医療機関に通って行う「施設血液透析」のことを指します。 実際に9割の患者がこの方法で治療を受けています。しかしこの方法は、人間らしい生活が奪われるといっても過言ではなく、導入直後は…

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