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「たんぱく質」に注意すべきワケ
CKD(慢性腎臓病)を悪化させないためには、もちろん、早期のうちから治療を開始することが重要ではありますが、それだけでは進行を食い止めたり、遅らせたりすることは困難です。
CKDを含む生活習慣病は、「生活習慣」と名前につくくらいですから、日常生活を改めないと、薬などによる医療機関の治療効果が十分に得られません。「医者にかかっていれば、家では今までどおりにしていても大丈夫」というわけにはいかない、ということです。
腎不全にならないためには、腎臓をいたわり糸球体が働きやすいようにすることが大事です。
腎臓は体から出た不要物を回収する臓器ですから、その不要物を減らして腎臓の負担を減らしてあげるよう気をつけなければなりません。
では、どのようにしたら不要物を減らすことができるのでしょうか?
私たちが毎日の食事で摂っている栄養素のうち、たんぱく質は、体内でエネルギーや体をつくる材料として使われたあと、“燃えかす”として尿毒症のもとになる物質ができてしまいます。
したがって腎臓の負担を減らすには、たんぱく質の摂り方に注意をしなければなりません。
それに加え、脂肪と炭水化物でエネルギーを確保することも大事です。なぜかといえば、エネルギーが不足すると、人の体はたんぱく質を燃やしてエネルギーにするからです。
つまり、エネルギーは確保しつつ、低たんぱくを心掛ける、これにより尿毒症のもとになる物質を減らす、というのが腎臓への負担を減らす原則となります。
ただし、糖尿病性腎症の場合は、炭水化物(糖質)が体にだぶついているわけですから、糖質の量にも気をつけなければなりません。さらに、肥満の人の場合はエネルギーそのものが過多になっているので、カロリー制限も必要となってきます。
ただし、これらはあくまでも「原則」であり、実際には患者さんの原疾患や体格、それまでの食生活などを考慮し、一人ひとりに合ったオーダーメイドの食事指導がなされるべきと私は考えています。