(※写真はイメージです/PIXTA)

企業を取り巻く環境はそのときどきで大きく変わってきます。時流をよくみる習慣を身につけ、自社の状況を冷静に判断する必要があります。自社とってチャンスなのか、脅威なのか…。どのように経営計画に反映したらいいのでしょうか。※本連載は、宮内健次氏の著書『経営計画100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋、再編集したものです。

経営には「定量的な目標」と「定性的な目標」が必要

■単なる願望ではない到着点

 

「経営目標」は、経営ビジョンの実現のための具体的な目標です。会社の将来のあるべき姿(夢)は、単なる願望だけでは実現しません。具体的な経営目標を掲げる必要があります。

 

経営目標としては、定量的な(数値で判断できる)目標と定性的な(数値・数量では表せない)目標があります。以下、いくつか例を挙げていきます。自社の経営形態に適した目標を設定してください。

 

■定量的な目標

 

①売上高

 

売上高は、非常にわかりやすい計数であるため、よく目標として使われます。しかしこの目標だけだと、売上は上がっても利益が出ないという場合が想定されます。このため、売上高を目標の数字とする場合は、利益目標の設定も望まれます。

 

②営業利益

 

会社の第1の目的は利益を上げることです。特に、営業活動で得た営業利益は、わかりやすい目標となります。

 

③総資本営業利益率(営業利益÷総資本)

 

総資本営業利益率は、会社の全資本に対してどのくらいの割合の営業利益を上げたかを判断するもので、会社の収益性を総合的に見られる点で優れています。業界の指標や過去の指標などを参考にして、目標とする率を決定しましょう。

 

④売上高営業利益率(営業利益÷売上高)

 

売上高営業利益率は、売上高に対してどれだけ営業利益を上げたかを示すもので、利益率の高さを見られる点で指標として優れています。これも総資本営業利益率同様、業界の指標や過去の指標などを参考にして率を決定していきます。

 

ワンポイント
3年後をメドに、実現しうる利益の計数を掲げる。
具体的行動
経営目標は、定量的な目標と定性的な目標がある。

 

「定性的な目標」の設置…4つのポイント

■定性的な目標

 

①自社固有の技術開発中小企業は、取引先企業の下請けになっている場合が多くあります。下請けの場合、親企業から決められた単価や、度重なるコストダウン要請などのせいで、なかなか思うような利益が上がらないのではないでしょうか。こうしたことに対応するために、自社固有の技術開発が求められます。「脱下請」をめざすのであれば、独自の専門的な技術開発が目標となります。

 

②新分野への進出既存市場が成熟してしまっている場合は、新たな事業分野に活路を見出すことも、選択肢の1つです。培ってきた技術を応用するなどして、新分野進出を目標にしましょう。

 

③社内の仕組みの再構築コンピュータの導入などにより業務を迅速化・合理化し、新しい仕組みを作ることも、目標になり得ます。ただし、機械類の導入は相当の初期費用が必要となるため、費用対効果をよく検証してください。

 

④サービスの向上業種にもよりますが、接客業などであれば、サービスの向上も重要な要素となります。従業員の訓練や方法の転換などでサービスを向上させられれば、顧客からの信頼も増すでしょう。

 

ワンポイント
数字では表せない会社の価値を上げていく。
具体的行動
独自の技術やサービス、社内の合理化など、企業を伸ばす要素は数字だけではない。

 

宮内 健次

中小企業診断士 社会保険労務士

 

 

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