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意義は社長自身の置かれている状況を考える項目
■まず、なぜ作るかを考える
ここからは、経営計画のそれぞれの項目について解説していきます。A4用紙一枚で作る経営計画書のフォーマットを参照しながら読み進めてください。
まずは1.意義の項目です。これは、経営計画を作成することに、どのような意義があるのかということです。自社の置かれた外部環境と内部環境の中で、経営計画の作成がいかに必要となってきているかを記載していきます。
経営計画は、突然作成するものではありません。経営計画を作るに至った事情があるはずです。それを文章で説明することにより、社員に経営計画のねらいを理解してもらえます。また、社外の人に会社の将来の姿を認識してもらうこともできます。この項目は、経営のトップである社長自らが、決意表明という意味合いも込めて記載しましょう。
①今回なぜ経営計画を作成しようと決めたか、経営計画への思いを記載します。たとえば、従来は「なりゆき経営」で業績が悪化傾向にあったが、これからは計画的な経営に転じ、将来のビジョンをもって進みたいと思った、などです。
②会社の過去の成長の軌跡を記載します。今まで、会社がどのような歴史をたどってきたのかをふり返りましょう。
③現在会社を取り巻く外部環境について、簡単に概要を記載します。
④会社の内部環境について概要を記載します。会社の商品力、人材力など、現在もっている会社の能力を確認します。
⑤会社の経営ビジョンの概要を記載します。長期的に会社をどのようにするのか、その将来のビジョンを明示します。
⑥会社の経営目標の概要を記載します。経営ビジョンを達成するためにどのように経営目標を立てているか、その目標を明示します。
⑦経営計画のガイドラインとして全体の構成を明記し、この経営計画を今後どのように進めていくのかについて記載します。
⑧この経営計画全体をひと言で述べるとどういうものなのか、はっきりわかるような副題を記載します。このキャッチフレーズによって、社員が経営計画を身近に感じられるようになります。
「意義」の項目は、社長が自らの会社のおかれている状況、めざしていくビジョンを考える項目。
具体的行動
副次的にリンクづけできる「副題」や「経営目標」の意味や概要を説明する。
「経営計画」は「経営理念」から始まる
■会社の指針を定める
2.経営理念は、企業の基本的な指針です。何をよしとし、どのような行動基準をもつかということです。これは、経営計画の中で最も大切なものです。「経営計画は経営理念から始まる」といっても過言ではありません。
経営理念を明文化する目的は、経営活動をするうえでの「モノサシ」を作ることです。この「モノサシ」には、会社の社会での役割と会社の判断基準という、2つの目盛りを入れてください。企業が社会の中でどのような役割を果たすのか、また、社員がどのような基準で物事を判断していくのかを、明確にするのです。そうすることで、組織が一丸となって進んでいけるようになります。
経営理念は社員全員が共有するものですので、わかりやすく、なじみやすい内容がよいでしょう。特別にカッコいいものを考えようとする必要はありません。また、他社の経営理念を参考にするのはよいですが、そのままマネしても何の意味もありません。自分の会社に合った理念を定めましょう。
すでに企業に何らかの経営理念があるのでしたら、それを踏襲して記載してください。
ただし、その経営理念が現在の時代や経営内容とかけ離れてしまっていたら、再検討が必要です。もし現在、はっきりした経営理念がないのであれば、経営者のモットーや座右の銘、創業時の思いなどが、経営理念の候補になります。それぞれふり返ってみてください。
経営理念は、この会社は何のためにあるのか、何をしていく会社なのか、指針として経営者が考える「モノサシ」である。
具体的行動
社員全員が共有するわかりやすく、なじみやすいスローガンがよい。