【関連記事】他社のマネするだけ「A4用紙一枚の経営計画」で成功する方法
チャンスか脅威か「外部環境」を知る
■SWOT分析
経営計画では、自社を取り巻く「外部環境」と、自社の「内部環境」を分析します。
その手法には、SWOT分析があります。これはアメリカ合衆国のスタンフォード大学で考案され、経営戦略のツールとして利用されている方法です。
SWOT分析の名前は、strengths(強み)、weaknesses(弱み)、opportunities(機会)、threats(脅威)の頭文字からきています。外部環境を「機会」と「脅威」から、内部環境を「強み」と「弱み」から分析します。
■外部環境について(「機会」か「脅威」か)
まず外部環境とは、企業の外部にあって企業の意向だけでは左右できないような環境のことで、政治環境、経済環境、社会環境、技術環境、市場環境、労働環境、資金環境などがあります。これらについて、ポジティブな「機会」なのかネガティブな「脅威」なのかを分析していきます。
「機会」とは、自社にとってチャンスとなるような外部環境です。たとえば建設業の企業にとって、政治環境面で住宅ローンの減税などにより住宅税制が充実した場合、チャンスとなります。
一方「脅威」とは、自社にとって問題となるような外部環境です。同じく建設業を例に取ると、社会環境での人口減少の傾向は、住宅着工の総数の減少につながるため問題だといえます。
外部のさまざまな環境は、そのときそのときで猫の目のように変わっていきますので、時流をよく見る習慣を身につけ、自社の現状を冷静に判断し、「機会」を逃さぬよう「脅威」を退けられるよう分析することが重要です。
企業の意向だけでは左右できない外部環境が企業の経営に干渉してくる。
具体的行動
外部環境が「機会」になるのか、「脅威」になるのかを分析し、経営に反映させる。
自社の強みと弱み「内部環境」を知る
■内部環境について(「強み」か「弱み」か)
次に内部環境とは、自社の財務力、人材力、商品力、サービス力、営業姿勢などのことです。これらについては、「強み」と「弱み」に分類していきます。「強み」に挙げられるのは、他社より優れている点です。たとえば商品について、「独自の工法が開発されており、他社より低コストで製造できる」といったことがあれば、商品力の「強み」になります。逆に「弱み」となるのは、他社より劣っている点です。「人材教育が行われておらず、社員の退職率がきわめて高い」などは、人材力の「弱み」です。
内部環境の中で、特に重要なのが財務力です。財務力に問題があれば、設備投資や資金繰りに影響が出てきます。仮に他の面がよくても企業の活動に問題が生じるので、財務力をしっかり把握する必要があります。この財務力の状況は、経営計画の経営目標や利益目標に大きく影響してきます。
■財務力を3つの視点から分析する
①収益性から見た財務力
収益性とは、会社がどれだけ利益を上げているかを見るもので、2つの視点があります。1つ目は、売上高に対してどれだけ利益を上げているかを見る売上高利益率です。2つ目は、会社の全資本(資産)でどれだけの利益を上げたかを見る総資本利益率です。
②効率性から見た財務力
効率性とは、「会社の資本をどれだけうまく運用できたか」を見るものです。指標としては、「会社の全資本を使い資本の何倍の売上高を上げたか」を見る総資本回転率があります。
③安全性から見た財務力
安全性とは、「会社を維持する体力がどのくらいあるか」を見るものです。この指標としては、流動比率と固定比率があります。流動比率は、「1年以内に支払われなければならない負債(流動負債)に対し、1年以内に現金化できる資産(流動資産)がどれだけあるか」を見るものです。また、長期的視点から「純資産で固定資産をどのくらい賄っているか」を見る固定比率(純資産に対する固定資産の割合)があります。
内部環境の分析により、自社の強みと弱みを認識できる。
具体的行動
内部環境として、財務、人材、商品力等についての強み、弱みをきちんと分析しよう。