経営ビジョンと社員の夢の一致を目指す理由
■夢を抱く
3.経営ビジョンは、会社の将来あるべき姿(夢)です。これを明示するには、社長の強い思いが必要となります。単に「会社を大きくしたい」というようなものでは、漠然としすぎており、あまり意味がありません。次のような視点から作ってみましょう。
①事業領域⇨将来、どのような事業領域を伸ばそうとしているのか。
②商品⇨将来、どのような商品を主力にしようとしているのか。
③規模⇨将来、売上や利益などをどの程度大きな規模にしようとしているのか。
④社員⇨会社の掲げたビジョンは、社員の夢に結びつけられるのか。
この中でも最も大切なのは、④の会社の経営ビジョンが社員の夢になるかです。社員にとって、会社がどのような経営ビジョンを掲げているかは、賃金や職場環境に劣らず重要な要素です。自分が会社で実現しようとしている夢と、会社の経営ビジョンが一致したとき、仕事にやりがいを感じるものです。
なお、「社長の強い思い」と前述しましたが、経営計画委員会などが草案を作成して決定していく方法もあります。
中小企業の場合、日常業務に追われ、将来のことまで考えられないという場合があります。どうしても夢が描けない場合は、現状を見て「3年後はこうなる」と推定して経営ビジョンを作成してもいいでしょう。
経営ビジョンは社員の夢になる。
具体的行動
社員の夢になる将来のしっかりした経営ビジョンを作っていこう。
3年後確実に達成する経営ビジョンを考える
■3年後の到達点はどこ?
では具体的には、どのような経営ビジョンがあるでしょうか。中小企業にとって有効な経営ビジョンの1つに、株式上場があります。株式上場すれば大きな資金を獲得することができますし、知名度も上がります。社員も自分の仕事に誇りをもつことができるでしょう。
そのほか、「△△業で△△地域ナンバーワンになる」といった経営ビジョンもありますし、「ほかの企業がやっていない△△の分野のオンリーワンになる」という経営ビジョンも価値があります。
この経営ビジョンで、会社の方向が決まり、また、社員の夢も決まってしまいます。経営ビジョンはしっかり考えていただきたいと思います。
大きな夢を抱くのは素晴らしいことですが、夢が大きければ大きいほど、実現には時間がかかります。この経営計画は3年のスパンを想定していますので、実現のプロセスが長期にわたりそうな場合は、「3年後の段階でここまで到達していればOK」というふうに考えてください。
会社を継続していくためには、経営ビジョンだけでなく、経営目標が必要となります。さらには、経営目標を達成するための具体的な目標利益計数や施策が必要となります。経営ビジョンは、登山でいえば、山頂に相当します。
この山頂を制覇するために、何をどのようにして登っていくかをじっくり考えていく必要があります。経営ビジョンが夢で終わらないように、経営計画の手順を踏んで進めていきましょう。
会社として今より少し上にいく目標を具体的に思い描く。
具体的行動
3年後、きっと手が届く目標を、さらに先の達成したい目標から逆算して設定してもOK。
宮内 健次
中小企業診断士 社会保険労務士