(※画像はイメージです/PIXTA)

FOMC後、米ドル/円は110円台後半まで一段高となりましたが、対ユーロでは米ドルが上げ渋る展開となりました。一体なぜなのでしょうか。FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が考察していきます。

「米ドル/円」と「ユーロ/米ドル」の違い

米金融政策に関心が高まるなかでの2年債利回りとの高い相関関係は、米ドル/円に限ったことではありません。たとえば、ユーロ/米ドルと独米金利差を重ねてみると、6月FOMC前後から、10年債利回り差より2年債利回り差との相関関係が高まるようになったことがわかります(図表5、6参照)。

 

(出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)
[図表5]ユーロ/米ドルと独米金利差その1 (2021年1月~) (出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成)

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表6]ユーロ/米ドルと独米金利差その2  (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

この関係が今後も続くなら、上述したように、米国の超金融緩和政策の転換を織り込む形で米2年債利回りが上昇するなかで、ユーロ/米ドルも基本的にはユーロ安・米ドル高が広がっていくといった見通しになります。

 

ただ、細かく見ると、先週のFOMC以降、対円は一本調子で米ドル高に向かったにも関わらず、対ユーロでは米ドルが上げ渋る展開となりました。これには、株価の影響もあったでしょう。

 

9月に入り米国株などが大きく下落した局面では、ユーロ/米ドルは米国株価の連動性を強めました。こんなふうに、ユーロ/米ドルは、株価に注目が集まる局面で、株価と順相関(株安=ユーロ安・米ドル高、株高=ユーロ高・米ドル安)の関係が強まることがあります。

 

その意味では、先週のFOMC以降、米国株が急反発に転じたことが、ユーロ/米ドルにおいて米ドルが上げ渋る要因になった可能性があるといえます(図表7参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表7]ユーロ/米ドルとNYダウ (2021年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

 

吉田恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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