生活習慣病患者が増加…「医療機関側」に求められる管理体制 (※画像はイメージです/PIXTA)

慢性疾患の中でも、糖尿病、高血圧症、がん、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病は国民医療費の約3割を占めており、死亡の割合は約6割に及んでいる。予防や重症化防止の対策が行われているが、患者が急増している理由とは何か…。※本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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慢性疾患患者は継続した治療が必要である

本稿が慢性疾患患者に焦点を当てている理由は、患者の継続受診行動を探るためである。

 

患者は風邪など一過性の病気が完治した場合、当然ながら受診を終了する。一方、慢性疾患の場合は、継続した医療管理と治療が必要である。完治する疾患と継続的な治療が必要な慢性疾患では、患者の意思決定は異なり、受診行動は大きく変わる。

 

今日では多様化した市場のニーズを的確に捉え、それらのニーズの異質性を認識することなしに、企業は商品やサービスを生産し販売することはできない。消費者の一人ひとりがどんな消費を志向しているのかを見極め、製品化を考え、販売戦略を立てていくことが重要である(中村ほか,2009)。

 

医療機関においても患者のニーズは多様化しており、各疾患による患者のニーズの違いを認識する必要がある。したがって、疾患の特性に応じた患者インサイトの理解は、信頼される医療サービスを提供するための欠かせない要素となる。

 

慢性疾患患者の増加は世界的な傾向であり、近年では、日本においても疾患構造が変わり、多くの国民が慢性疾患を経験する身近な病気となっている。

 

慢性疾患は、狭義では、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患が含まれており、NCDs(Non-CommunicableDiseases:非感染症)、生活習慣病などと呼ばれる。慢性疾患の中でも生活習慣病は、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒などの原因が共通しており、生活習慣の改善により予防可能な疾患であると位置付けられている。

 

生活習慣病は、高血圧症、糖尿病、高脂血症などが挙げられ、これらは重症化すると心疾患や脳血管疾患を引き起こす。COVID-19(CoronaVirusDisease2019)を除き19世紀まで人類の健康上の課題は感染症の克服であったが、この課題がほぼ解決した先進諸国では、20世紀以降に疾病構造が大きく様変わりし、生活習慣病が主たる死亡原因となっている。

 

世界的にみると、心血管系疾患、がん、慢性呼吸器疾患、糖尿病など非感染性疾患(NCDs)による死亡割合は、2008年で約60%を占めている。その後、10年間でさらに77%程度まで増加することが予測されていたため、世界保健機関(WHO)は、世界行動計画(2008~2013年)を策定し、全世界的にNCDsの予防と管理を実施した(厚生労働省生活習慣病対策室,2009)。

 

跡見学園女子大学兼任講師
群馬大学大学院非常勤講師
現代医療問題研究所所長

中央大学大学院戦略経営研究科修士課程(MBA)を首席で修了、同大学院同研究科博士課程にて博士(経営管理)取得。医療福祉専門学校の学校長を経て現職。医師会・医療機関・製薬会社等で講演活動を行う。専門は医療マーケティング論、マーケティング論、企業マネジメント論など。

著者紹介

連載「患者インサイト」患者の深層心理がわかれば医療現場が変わる

患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

杉本 ゆかり

千倉書房

「患者インサイト」とは、患者が心の奥底で考えている本音であり、医療に関する意思決定である。この患者インサイトを明らかにすることで、患者への情報提供や情報収集など、患者との効果的なコミュニケーション理解できるよう…

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