(※写真はイメージです/PIXTA)

旅行全体のうち出張旅行者が占める割合は12%に過ぎないが、航空業界の収益の75%を生み出している。パンデミックのいま、航空業界は需要が蒸発。小売業界にとって空港という成長市場が開店休業状態になった影響とは。※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

旅行者の65%が新型コロナの感染が不安と回答

■飛行機での移動

 

2019年に、私は150回以上も飛行機に乗って、世界各地を訪れていた。過去4年間だけでも、飛行機での移動距離は100万マイル(約160万キロ)近くに及ぶ。どれだけハラハラした日々だったか、私の白髪頭を見れば一目瞭然だ。私の仕事に出張はつきものである。私の職業自体がそうだし、2019年に手がけた案件もそうだが、出張はなくてはならないものだっただけに、飛行機での移動なしに仕事をこなすことになるとは、想像だにしなかった。

 

今、パンデミックの最中に本稿を執筆していて、今度は座席のクラスやフライト時間にかかわらず、快適に飛行機に乗ることが想像できなくなっている自分がいる。空港の大混雑や長い行列、清潔さを欠いた機内など、うんざりするような経験は何度もしているが、パンデミックの今になって考えると、余計にゾッとするし、よくあんな状況で平気だったなとつくづく思う。そう思っているのは、私だけではない。

 

「目下の危機は、長期にわたって影を落とす可能性があります。かつてのような旅の習慣を取り戻すには時間がかかるというのが、乗客の方々の声です。多くの航空会社では、2019年当時の需要水準に戻るのは、2023年か2024年になりそうだと見ています」

 

これは、IATA(国際航空運送協会)事務局長、アレクサンドル・ドゥ・ジュニアックによる業界調査結果を説明した際の導入部である。

 

2020年6月、最近旅行したことのある4700人を対象に実施した調査によれば、ウイルス感染が「ある程度不安だ」、あるいは「非常に不安だ」との回答は83%に上り、65%が感染者の隣の席に座ることに不安を覚えていることがわかった。

 

だが、本当に厳しい結果はここからだ。「少なくとも6カ月は旅行を再開するつもりがない」との回答が54%に上ったのである。「少なくとも1年は再開しない」との回答も20%近くあり、わずか2カ月間で11%も増加した。

 

そうなると、空の旅やそれに依存する小売業に関して、重大な疑問が持ち上がる。

 

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小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

ダグ・スティーブンス

プレジデント社

アフターコロナに生き残る店舗経営とは? 「アフターコロナ時代はますますアマゾンやアリババなどのメガ小売の独壇場となっていくだろう」 「その中で小売業者が生き残る方法は、消費者からの『10の問いかけ』に基づく『10の…

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