医療というサービス業…「提供者」が忘れてはいけない「たった一つのこと」 (※画像はイメージです/PIXTA)

患者インサイトとは、持続可能な関係性の構築を目指して、患者のニーズや考えを探ることを指す。単に、患者との良好な関係を維持することだけにとどまらず、病気の早期発見、重症化の防止にも役立つという。本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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病気の早期発見、重症化の防止につながる

(1)患者インサイトって何?

 

インサイトとは、消費者心理の中に隠れたニーズや思考を探り当てることであり、消費者心理の深部まで分け入り、購買動機や消費動機を考察することである(田中,2014)。つまり、患者インサイトとは、患者との持続可能な関係性の構築を目指して、患者が求めることや思考を探る。そして、受診先や治療を選択する動機を捉え、効果的な情報提供や患者とのコミュニケーション、サービス提供を検討することである。

 

例えば、医療機関にくる患者は、自分が何を欲しているかうまく表現できないことや、遠慮して言えないことも多い。また、医師の指示をすぐに理解できず、できないことや受け入れられないこともある。

 

患者インサイトを明らかにすることは、単に、患者との関係性を良好にする方法を獲得するだけに止まらない。患者のインサイトを知ることは、

 

・患者の満足を探り、患者の意思決定を理解することにつながる。
・患者の治療に対する意識を向上させ、患者が治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受ける、アドヒアランスを高める。
・患者のポジティブな行動変容を起こす。
・定期的で継続的な受診行動を導く。

 

その結果、病気の早期発見、重症化の防止につなげることができる。

 

これらは、患者の減少を食い止め、定着を図り、医療機関の経営の安定に貢献する。

 

したがって、患者インサイトの理解は、医師をはじめとする医療従事者にとり、基本的で必要不可欠な要素である。

 

本稿では患者インサイトを明らかにするために、マーケティング理論を活用する。

 

■ロイヤルティの形成を考えて、患者の心理の深層を探る

 

ロイヤルティとは、他商品・他店を利用せず、その商品や店舗に対して信頼して愛着を持ち、継続的に利用・購入してくれる顧客の行動である。ロイヤルティは、リピートして継続的に利用してくれる顧客を示し、マーケティングにとり重要な指標と言える。

 

例えば、リピート購買率とは新製品の商品力の代理指標である。また、リピート購買は、新製品を一度トライアル購買した消費者が満足した場合に発生する購買行動である(中村,2003)。

 

医療機関においても同様に、継続受診率は医療行為を含む医療サービスの品質力の代理指標であり、患者の継続受診は医療サービスの真価につながる。その継続受診は、新規患者が医療機関を受診し、満足した場合に発生する受診行動である。患者を獲得し定着を図るためには、継続受診の意思決定を明らかにする必要がある。

 

本稿では、患者に継続的にリピートして医療機関を利用してもらうためにはどうしたらよいのかを主軸に考え、理論と実証研究により患者インサイトを示していく。

 

跡見学園女子大学兼任講師
群馬大学大学院非常勤講師
現代医療問題研究所所長

中央大学大学院戦略経営研究科修士課程(MBA)を首席で修了、同大学院同研究科博士課程にて博士(経営管理)取得。医療福祉専門学校の学校長を経て現職。医師会・医療機関・製薬会社等で講演活動を行う。専門は医療マーケティング論、マーケティング論、企業マネジメント論など。

著者紹介

連載「患者インサイト」患者の深層心理がわかれば医療現場が変わる

患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

杉本 ゆかり

千倉書房

「患者インサイト」とは、患者が心の奥底で考えている本音であり、医療に関する意思決定である。この患者インサイトを明らかにすることで、患者への情報提供や情報収集など、患者との効果的なコミュニケーション理解できるよう…

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