マンション内の迷惑行為で「他の入居者を睡眠障害に」
ある区分所有者Aが、無職の子Bに対して当該専有部分を使用貸借※しています。
Bは、再三やめるようにお願いしているにもかかわらず、数年前から昼夜を問わず室内の壁を物で叩き、他の居住者の悪口を大声で叫ぶなどさまざまな迷惑行為を続けており、居住者の中には騒音等により睡眠障害になったものもいます。
Aは、区分所有開始時からマンションに寄り付かず、Bに対する監督を求めても無反応で、ここ数年は管理費も滞納しています。Bの行為をやめさせることや、Bに出て行ってもらうことはできるでしょうか。
※ 使用貸借…無償で貸し借りをすること。
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迷惑行為に対しては、区分所有関係に固有のものとして①区分所有法57条ないし60条に基づく行為の停止等請求、②管理規約中の禁止規約に基づく差止請求があります。
また、一般的なものとして③人格権、区分所有権・共用部分の共有持分権等に基づく差止請求の対処が考えられます。またこれらにあわせて、④不法行為に基づく損害賠償請求をすることにより間接的な抑止を図ることも可能です。
このうち、裁判上の認容可能性や実効性の点で、一般的な人格権等に基づく請求は認容可能性に乏しく迂遠であるため、区分所有法58条、59条、60条等に基づく訴訟提起のための特別多数決議(区分所有者の数および議決権の各4分の3以上)が得られない場合に利用するのが主となるでしょう。
以下では、区分所有関係固有の請求について詳述します。