※画像はイメージです/PIXTA

昨今、日本社会に定着してきた「民泊」。しかし、「トラブルが多そう」というイメージは未だ拭えていないでしょう。ここでは、「マンションの区分所有者に民泊をやめさせたい」という管理組合からの質問に、香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が答え、解説していきます。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「民泊」禁止の規約はないが、やめてもらいたい…

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平成30年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されましたが、当管理組合においては、理事会や総会で議論がまとまらず、住宅宿泊事業(以下「民泊」といいます。)禁止の規約改正をしないまま、現在に至ってしまいました。

 

そのような状況において、当マンションの区分所有者の中で、手続的には適正に民泊の届け出をし、実際に民泊を開始した者が現れ始めました。

 

当管理組合の管理規約には、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」(12条)という規定がありますが、同規定を根拠に民泊を差止めることはできないでしょうか。

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●住宅宿泊事業法と標準管理規約の改正について

 

平成30年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されました。同法は、一定の要件を満たした場合に民泊(住宅宿泊事業)を適法に行うことを認めるものです。

 

そこで、それに先立つ平成29年8月29日、標準管理規約が改正され、以下のとおり、民泊(住宅宿泊事業)を可能とする場合、禁止する場合に応じて、モデル条項が定められました。

 

①住宅宿泊事業を可能とする場合

(専有部分の用途)

 

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

 

2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用することができる。

 

②住宅宿泊事業を禁止する場合

(専有部分の用途)

 

第12条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。

 

2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。

 

したがって、民泊(住宅宿泊事業)を禁止する意思のある管理組合は、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届け出が開始される平成30年3月15日までに、上記の住宅宿泊事業を禁止する旨の規約改正を行うか、住宅宿泊事業禁止の意思を表明した総会決議または理事会決議を行う必要がありました。

 

ほとんどの管理組合は、上記いずれかの手続きをとったようですが、自主管理の管理組合など、中には何らの手続きをしないまま現在に至ってしまった管理組合もあるようです。

 

そこで、平成29年8月29日改正前の標準管理規約12条、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」という規定を根拠として、民泊(住宅宿泊事業)を差止めることができるか、が問題となります。

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トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

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