※画像はイメージです/PIXTA

地下1階・地上1階に店舗部分のあるマンション。騒音などを理由に「午後10時以降の営業禁止」を求めたら認められそうなものですが、裁判で否定された事例も存在します。許容のラインはどこにあるのでしょうか。香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が解説していきます。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

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迷惑…マンション下層階で「深夜まで居酒屋営業」

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当マンションは地下1階、地上10階建てで、従来から、地下1階および地上1階が店舗部分になっています。店舗部分に関しては、管理規約において営業は22時までと定めています。近隣の店舗もほとんどが22時に閉店しています。

 

ところが、1ヵ月ほど前から、店舗部分区分所有者が業種を変更して深夜24時まで営業している居酒屋を始めてしまいました。同区分所有者に対して、どのような措置がとれるでしょうか。

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区分所有法57条に基づく差止請求

 

管理規約等の定めに違反し営業している場合は、当該営業が共同利益背反行為(法6条1項)に該当するとして区分所有法57条に基づく差止請求が考えられます。

 

管理規約等において違反行為である旨の定めが無い場合においても、共同利益背反行為に該当するような行為については同条に基づく差止請求が可能です。

 

この点、共同利益背反行為に該当するかについて裁判例は、「共同の利益に反する行為にあたるかどうかは、当該行為の必要性の程度、これによって他の区分所有者が被る不利益の態様、程度等の諸事情を比較考量して決すべきものである」としています【東京高判昭和53・2・27下民集31・5~8・658]。

次ページ営業停止を求めても、裁判で「棄却された事例」…
トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

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