※画像はイメージです/PIXTA

マンションの近隣トラブル。自分の部屋の「漏水」が別の部屋へ被害をもたらしているにも関わらず、補修工事に協力しない住人がいたら、どう対処すればよいのでしょうか? .「管理組合からの質問」に、香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が答えます。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

上の階から漏水!しかし補修工事への協力を頼んでも…

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当マンションは、標準管理規約と同様の管理規約を用いています。

 

先日、当マンションの1階101号室の区分所有者から漏水が発生したとの連絡がありました。漏水は、101号室の直上に位置する2階201号室の床下に設置されているコンクリート埋設の配管(給湯管)から生じていると考えられます。

 

そこで、2階201号室に漏水を止めるための漏水補修工事に協力してくれるよう頼んだのですが、2階201号室の区分所有者は漏水補修工事に協力しようとせず、調査のために部屋の中に関係者が入ることも拒んでいます。

 

その後、漏水は一旦おさまったのですが、またいつ漏水が発生するかわからない状況です。1階101号室の方も臨時の応急処置をしていますが、いつ漏水が再発するか不安に思っています。

 

どのように対処したらよいでしょうか。

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そもそも配管の管理は誰が行うべきでしょうか。配管が共用部分であれば原則として管理組合の管理対象になりますし、配管が専有部分であれば原則として同専有部分の区分所有者の管理対象になります。

 

この点、配管は、専有部分にあるバス、トイレ、キッチン等の排水を流す横管(枝管)と、各部屋の横管(枝管)から流れてきた排水を集めて流す縦管(主管)に分類されます。

 

そして、一般的に、横管(枝管)は専有部分、縦管(主管)は共用部分であるとされています(稲本洋之助、鎌野邦樹編著『コンメンタールマンション標準管理規約:コンメンタールマンション区分所有法別巻』日本評論社、2012、42頁)。

 

しかし、横管(枝管)も縦管(主管)もつながっており、構造上一体になっているにもかかわらず、横管(枝管)のみ各区分所有者が管理するとすれば、非効率的ですし、不便です。

 

そこで、標準管理規約21条2項は、「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」として、上記問題を解決しています。

 

したがって、配管については、横管(枝管)も縦管(主管)も管理組合が管理を行うことができます。

次ページでは管理組合は、201号室内に立ち入ってよいのか?
トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

【マンショントラブルの法的対応が、具体的な事例からわかる!】 専門性の高いマンション管理の法的トラブルは、意外な落とし穴が数多く存在します。 実務経験の豊富な著者が、初任者がつまずきやすい論点もやさしく解説。 …

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