※画像はイメージです/PIXTA

マンションの一室を「暴力団組事務所」として使用されており、なんとか追い出せないかと考えている管理組合。近年、暴力団排除の気運は高まっており、従前に比べて対応がとりやすくなっているといえます。取りうる手続きについて、香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が解説していきます。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

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マンションの一室が「暴力団組事務所」として使われ…

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最近、当マンションの一室に暴力団組事務所として使用されていると思われる部屋があります。なぜならば、いつも暴力団風の男が出入りしていますし、ドアの前には防犯カメラが多数設置されており、窓には鉄板が施されているからです。そこで、当該区分所有者の名前をインターネット検索したところ、ある暴力団組長の名前と一致しました。

 

今のところ、現実的な危害は発生していませんが、他の区分所有者らは皆大変恐がっています。何とかして、追い出すことはできないでしょうか。

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マンションの一室が暴力団組事務所として使用されている場合、同事務所を排除するために他の区分所有者らがとりうる手続きとしては次の3つが考えられます。

 

①区分所有法59条に基づく競売請求

 

②区分所有法58条に基づく使用禁止請求

 

③人格権に基づく暴力団組事務所使用差止請求

 

まずは、①区分所有法59条に基づく競売請求を行うことを検討すべきです。

 

②と③は、使用禁止に留まり、区分所有権を剥奪するわけではないため、抜本的な解決になりません。一方、①は、区分所有権を剥奪することによって、問題を抜本的に解決することができます。

 

ただし、①と②は、区分所有者及び議決権の4分の3以上の賛成という手続要件を満たす必要があります。

 

そこで同手続要件を満たすことが難しい場合には、③人格権に基づく暴力団組事務所使用差止請求を行うべきです。なお、以前は、同請求においては周辺住民自らが原告になる必要があり、暴力団からの報復をおそれ、原告となる者が出てこないという問題がありました。

 

しかし、平成24年10月に改正された暴力団対策法において導入された適格団体訴訟制度を利用すれば、上記問題を解決することができますので、同制度を積極的に利用すべきです。

次ページ現実的な危害が発生していないのに請求できるのか?
トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

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