「指図するな」と勝手に部屋を工事…暴走するマンション住民を止めたい【弁護士が解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

マンションの各部屋の所有権は各区分所有者にあるわけですが、修繕工事を無断でしてしまってもよいものなのでしょうか。ここでは「マンションの区分所有者に『勝手な修繕』をやめさせるには?」という管理組合からの質問に、香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が答え、解説していきます。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

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マンションの「無断修繕」…建物全体に悪影響の可能性

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当マンションは、標準管理規約と同様の管理規約を用いています。

 

新しい区分所有者が、入居の際に、専有部分について、建物に影響を与えるような修繕工事を行う旨を理事長に申請してきました。理事長(および理事会)としては、修繕工事の内容が、マンションに悪影響を及ぼしかねない内容であったため、工事内容を修正するように当該区分所有者と交渉しました。

 

ところが、当該区分所有者は、「自分の部屋なのだから、誰の指図も受けずに自由に工事ができるはずだ。」などといって、無断で修繕工事を開始してしまいました。

 

何とかして工事を止めることはできないでしょうか。

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事例の区分所有者が主張するように、区分所有者は、所有権に基づき、無断で当該専有部分の修繕工事等を行うことができるのでしょうか。

 

たしかに、区分所有者は、区分所有法や管理規約に反しない限りは、無断で当該専有部分の修繕工事等を行うことができます。なぜならば、区分所有者は当該専有部分について所有権を有するからです。

 

しかし、区分所有者が当該専有部分について所有権を有するとしても、無制限に修繕工事等を許してしまえば、マンション全体に悪影響を及ぼすような工事が行われてしまうおそれがあります。

 

そこで、平成28年に改正された標準管理規約においては、専有部分の修籍等であって、「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるもの」については、理事長の承認を受けなければならないとされています(同規約17条1項)。

 

そして、「理事長は、第1項の規定による申請について、理事会の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。」とされています(同規約17条3項)。

 

したがって、理事長(および理事会)との交渉を打ち切って、無断で修繕工事等を開始した当該区分所有者は、管理規約の上記規定に違反することになります。

香川総合法律事務所 代表弁護士 マンション管理士

2010年弁護士登録。2013年香川総合法律事務所設立。明治大学法学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。
マンション管理士・管理業務主任者資格保有。
東京弁護士会マンション管理法律研究部、東京弁護士会業務改革委員会に所属。

大手マンション管理会社の顧問弁護士を多数務めるなど、マンション管理関係の事件対応に特に強みを持ち、月間100件以上のマンション管理案件の相談を受けている。

著者紹介

連載迷惑行為事例をもとに解説「マンション管理の法律実務」

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

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