「昔はこんなんじゃなかったのよ」隣人女性は心配そうに呟く…。(※写真はイメージです/PIXTA)

1年ほど家賃を滞納している74歳男性。督促をしても喚き散らす始末で、家主も実兄も困り果て…。「強制執行」までの経緯を、OAG司法書士法人代表・太田垣章子氏が解説します。 ※本記事は、書籍『老後に住める家がない!』(ポプラ社)より一部を抜粋・編集したものです。

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    「このままじゃ断行厳しいかな」執行官は呟き…

    開錠されドアが開くと、山沖さんは玄関に立っていました。遠くからの様子ですが、それでも元気がないことは明確です。

     

    「家賃払ってないからね、明け渡しの手続きになっていますよ。分かりますか?」

     

    執行官が優しく言っても、さして反応がありません。

     

    「来月の5日に荷物を完全に撤去するからね。それまでに引っ越し先を見つけて出てくださいね。ここに紙貼っておくから。役所に相談したらいいと思いますよ」

     

    執行官は荷物を運び出す断行の日時が記載された公示書を、ドアの裏側に貼りました。今後の流れも説明されているのですが、山沖さんは聞いているのかいないのか、ただ公示書を眺めているだけです。前回より髪の毛も髭も伸び、同じ服なのでしょうか、さらに汚れた様相で生気がありません。ご飯をきちんと食べていないのか、かなり痩せた印象も受けました。

     

    説明が終わり、ドアを閉めたところで執行官が呟きます。

     

    「これ……このままじゃ断行厳しいかな。ちょっと検討してみて」

    次ページ断行の日まであと10日…兄からの電話で「急転直下」
    老後に住める家がない!

    老後に住める家がない!

    太田垣 章子

    ポプラ社

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