数値計画ではだめ!? 今までの経営計画のやり方
経営計画の内容
今までは、損益を中心とした数値計画を経営計画にしている場合が多く見られました。
特に、中小企業が金融機関に提出する経営計画は、損益計算書をもとに、将来の5年間、あるいは10年間の推移を予測した数値で作成したものが中心でした。
その構成を具体的に見ていくと、売上高、売上原価、売上総利益、販売費一般管理費、営業利益、営業外損益、経常利益、特別損益、税引前当期利益、法人税等、税引後当期利益となっています。また、借入金がある場合には返済も考慮するため、返済財源(税引後当期利益+減価償却費)と返済額も加えて作成しています。
経営計画が数値計画中心になっていた理由
中小企業では、経営者が売上目標の設定や資金繰り表の作成など、ふだんからビジネスの結果として、数値中心の経営をしているため、損益を中心とした数値計画だと作成が容易という点があります。
また、数値計画中心の経営計画だと時間もかからず、経営者だけで速やかに作成できる点も大きな理由です。
数字中心の将来計画ではどう達成するかわからないので社員は動けない。
具体的行動
数字中心の計画から、経営ビジョンとそれを達成する方法を書いた計画に作ろう。
未来予測と具体性がない…従来の経営計画書の問題点
数値計画が問題となる理由
1.数値の根拠がわからない
経営計画は一定期間にわたるものを作成することになりますが、売上や費用は、将来の需要予測を加味していくと毎年一定ではありません。しかし、こうした変化を数値だけで作成してしまうと、数値の根拠がわからず、それをもとに社内で経営計画として推進しても社員の理解が得られません。また、債務超過がある会社の場合、早く正常な状態にしようとして、無理な利益を計上し、数値計画を作成していることがあります。
2.目標を達成する方法がわからない
経営計画を数値計画だけで作成していると、何をどのようにしたら達成できるのかが具体的にわかりません。数値計画を達成するための具体的な施策と行動計画が必要なのです。ところが、目標となる数値計画を掲げるだけで、「現場はその数値をめざして頑張れ」と叱咤激励している社長も見かけます。これでは、現場社員はどうやって数値計画を達成したらいいのかわかりません。
宮内 健次
中小企業診断士
社会保険労務士