借金をしない限り「レバレッジ効果」は生まれない
医師が資産10億円を目指すなら、不動産運用が最短距離といえます。それは資金を融資してもらうことによってレバレッジ効果が期待できるからです。
融資とは借金です。そう捉えること自体は間違いではありません。しかし、借金という言葉には、日本人特有の価値観が埋め込まれてしまっています。日本人は「借金=悪」と考える人が多い。「借金しない?」と聞くとほとんどの人が「とんでもない!」と答えるでしょう。事業資金を借りると聞いても、後ろ向きに捉えるようです。
子どもの頃からお金についての教育を受け、「起業」も盛んな欧米と違い、日本では借金に対して小さい頃からこのようなイメージを植え付けられているからでしょう。しかし、私たち資産運用の専門家から見れば、それはただの「食わず嫌い」です。借金に対する正しい認識を持つ必要があります。
「レバレッジ効果=借金効果」
経営学的にはこのような式が成り立ちます。借金をしない限りレバレッジ効果は望めません。レバレッジ効果(借金効果)を利用すれば、同じ1500万円の年収でもリタイア後には資産数千万円と10億円の違いが生まれるのです。
たとえば借金が怖い人は、住宅ローンを繰り上げ返済でできるだけ早く返そうとします。しかし、よく考えてください。現在の住宅ローンの金利は1%から2%といったところです。こんなに低金利なら放っておいて構いません。繰り上げ返済するお金があるなら、7%や8%の利回りの不動産運用に回した方が得だからです。
確かに運用するには金利2%から3%の借金をすることになりますが、それでも繰り上げ返済をするより手元に残る資産は多くなります。さらに不動産運用には、節税というメリットもあります。
また金融機関は、株やFXの運用資金を融資の対象外にしています。なぜならこれらは価値がゼロになる可能性があるからです。
一方で不動産運用は、不動産自体に担保価値があり、家賃収入も見込めるので、融資の対象になります。経営に対して素人の人間が、一般的な金融機関から借りられる事業資金は、不動産運用以外にあまり見当たりません。
万が一、ローンの返済ができなくなったとしても不動産は売却可能ですし、普段は医師としての収入で生活していれば、路頭に迷う可能性は極めて低いといえます。それどころかそれまでの家賃収入が貯蓄として残るのです。
ちなみに、ほとんどの勤務医、特に公的病院に勤めている場合は副業が禁止されているはずです。しかし、親からの相続といったことも想定される不動産の運用は、禁止対象から外れます。医師だから活かせる最大のレバレッジ効果。この最大の武器を利用しない手はありません。
とはいえ、多忙を極める皆さんが、このような金融知識を得る時間がないことは十分承知しています。そのため医師が不動産運用で成功するには、その道にくわしい不動産会社や会計士などの専門家を事業パートナーに持つことが最重要といえるでしょう。
何もしなければ、収入のおよそ半分は税金に消えていく
本書では医師の皆さんに効率よく資産形成していただくために、不動産の運用をお勧めしています。その理由のうち、最も直接的に、かつ端的にそのメリットを実感してもらえるのは医師にとって、極めて節税効果が高いということです。
皆さんは毎年納税している額に驚いたことはありませんか?
所得税の税率は年収900万円を超え1800万円以下なら33%、1800万円超なら40%。しかも2015年からは4000万円超で45%となります。年収1500万円なら33%の495万円。さらに10%の住民税もかかるので合計43%の645万円が税金として消えていきます(分かりやすくするために各種控除額は考慮していません)。
つまり税金や保険料を差し引いた自由に使える可処分所得は、数百万円といったところです。額面上は一般的なサラリーマンの倍以上稼いでいるにもかかわらず、実際に自由に使えるお金は、ほぼ同等なのです。
世間では高給取りと思われながらも、稼いだお金のおよそ半分は自動的になくなってしまうこの現実。筆者のクライアントの医師たちの多くは、
「稼いでも稼いでも税金で取られる」
「ものすごく忙しく働いているのに、これだけしか残らないのはむなしい・・・」
「税金のために働いているようだ!」
と言っています。
それはそうでしょう。645万円といえば35歳から39歳男性サラリーマンの平均年収より150万円も多い。たとえるなら自分自身でエリートサラリーマン1人を雇っているようなものです。人々のために一生懸命働いているのに、いくら税金とはいえそんな大金が毎年無くなっていくことが悲しくないはずはありません。
しかし、いくら悲しんでも何もしなければ自動的に納税しなければならない。今の皆さんはまさに武器を持たない「丸腰」なのです。