将来の事業展開を考えるのであれば法人格は必要
不動産運用をする個人事業主が法人化する業種としては、不動産管理会社などの不動産関連がほとんどです。
しかし医師の皆さんなら、ここまでに紹介したように、ほかにも実現できる事業の選択肢は無数にあります。また、将来的に事業への展開を考えるのであれば、医療法人の設立も含めてぜひ検討すべきです。
個人医院でも保険証が使える保険医療機関であれば「みなし介護保険事業者」として、居宅療養管理指導(介護予防含む)、訪問看護(介護予防含む)、訪問リハビリテーション(介護予防含む)、通所リハビリテーション(介護予防含む)などを行うことができますが、本格的な介護保険事業者である介護老人保健施設や訪問看護ステーション、デイサービスなどの指定事業者になるためには、法人格を持っていることが必要です。
医療法人であれば報酬の経費化も可能
また、医療法人の設立は、将来子どもに事業を譲る際や税制上にも有利です。相続税の税率は最高で55%(法定相続分に応ずる取得金額6億円超)。10億円なら5億5000万円です。これはけっして無視できない、あまりにも大きすぎる金額です。
法人税は2段階の比例税率となっています。また、社会保険診療報酬分には事業税がかからないので、実効税率を抑えることが可能です。
さらに個人診療所の場合は、給料という概念がないため、収入を経費として計上することはできませんが、医療法人なら自身を理事長、家族を理事といった肩書にして報酬を経費にすることができるので、節税という意味でも非常に有効です。
ただし勤務医、特に公的医療機関に勤めている場合は、法人の役員や理事になることが禁止されています。退職を希望しないのであれば、妻や親など生計を同一とする家族になってもらえばいいでしょう。
ここに紹介しているこうした法人化によるメリットは、ほんの一部に過ぎません。実際に法人化するにあたっては、税理士やコンサルタントといったその道の専門家に相談して進めていけばよいでしょう。
いずれにしても大事なことは、何かを始めるにあたっては、必ず資金が必要になる、ということです。そのための資産形成として、医師にとっていかに不動産運用が最適かということはお分かりいただけたかと思います。