管理組合で専門家を活用すべき理由
組合員の高齢化と賃貸戸数の増加で、役員のなり手がいないという問題がどこのマンショでも深刻です。
平成16年1月に改正された標準管理規約第34条に、専門的知識を有する者の活用ついての規定が設けられました。
(専門的知識を有する者の活用)
第34条 管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。
そして、平成28年3月に改正された標準管理規約第35条では役員のなり手がいない場合に外部専門家を役員として選任できることの規定も設けることができることになりました。
外部専門家を役員として選任できることとする場合
2 理事及び監事は、総会で選任する。
3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。
4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。
しかしながら、区分所有者でもない者を専門家として理事会の役員として就任した場合には、利益相反行為を行うことが懸念されます。例えば、マンションの駐輪場を改造する工事を行うときに、大規模修繕工事を理事長が代表取締役に就任している会社に工事の発注をしたり、給・排水管の更新工事を行う時に理事長の娘婿が経営する設備工事会社に発注したりすると工事の内容が値段に相応でない不適切なものになることが考えられます。
そのために、平成28年3月に改正された標準管理規約第37条の2に利益相反取引の防止の規定が新たに設けられました。
※利益相反行為とは、管理組合の利益を図るべき立場にありながら、自己の利益を図る行為で業者からリベート(バックマージン)をもらうケースもこれにあたります。
(利益相反取引の防止)
第37条の2役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
二 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするとき。
この規定について標準管理規約第37条の2関係のコメントでは次の記載があります。
第37条の2関係コメント
役員は、マンションの資産価値の保全に努めなければならず、管理組合の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることがあってはならない。
とりわけ、外部の専門家の役員就任を可能とする選択肢を設けたことに伴い、このようなおそれのある取引に対する規制の必要性が高くなっている。
そこで、役員が、利益相反取引(直接取引又は間接取引)を行おうとする場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるものである。
なお、同様の趣旨により、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事は、その議決に加わることができない旨を規定する(第53条第3項)とともに、管理組合と理事長との利益が相反する事項については、監事又は当該理事以外の理事が管理組合を代表する旨を規定する(第38条第6項)こととしている。