難関資格なのに…「マンション管理士は役に立たない」は本当か (※写真はイメージです/PIXTA)

「マンション管理士は役に立たない」という意見を聞きます。マンション管理士の業務は「マンション管理組合に対して、専門的な知識や経験に基づきコンサルタントとしてアドバイスを行う」です。マンションには必ず管理組合を置かなければならないという法律も存在していて、マンションの数が多くなればなるほどマンション管理士のニーズは高まっていくことが予想されますが、うまく機能していないのはなぜか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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管理組合で専門家を活用すべき理由

組合員の高齢化と賃貸戸数の増加で、役員のなり手がいないという問題がどこのマンショでも深刻です。

 

平成16年1月に改正された標準管理規約第34条に、専門的知識を有する者の活用ついての規定が設けられました。

 

(専門的知識を有する者の活用)

第34条 管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。

 

そして、平成28年3月に改正された標準管理規約第35条では役員のなり手がいない場合に外部専門家を役員として選任できることの規定も設けることができることになりました。

 

組合員の高齢化と賃貸戸数の増加で、役員のなり手がいないという問題がどこのマンショでも深刻だという。(※写真はイメージです/PIXTA)
組合員の高齢化と賃貸戸数の増加で、役員のなり手がいないという問題がどこのマンショでも深刻だという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

外部専門家を役員として選任できることとする場合

2 理事及び監事は、総会で選任する。

3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。

4 組合員以外の者から理事又は監事を選任する場合の選任方法については細則で定める。

 

しかしながら、区分所有者でもない者を専門家として理事会の役員として就任した場合には、利益相反行為を行うことが懸念されます。例えば、マンションの駐輪場を改造する工事を行うときに、大規模修繕工事を理事長が代表取締役に就任している会社に工事の発注をしたり、給・排水管の更新工事を行う時に理事長の娘婿が経営する設備工事会社に発注したりすると工事の内容が値段に相応でない不適切なものになることが考えられます。

 

そのために、平成28年3月に改正された標準管理規約第37条の2に利益相反取引の防止の規定が新たに設けられました。

 

※利益相反行為とは、管理組合の利益を図るべき立場にありながら、自己の利益を図る行為で業者からリベート(バックマージン)をもらうケースもこれにあたります。

 

(利益相反取引の防止)

第37条の2役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

 

一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。

二 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするとき。

 

この規定について標準管理規約第37条の2関係のコメントでは次の記載があります。

 

第37条の2関係コメント

役員は、マンションの資産価値の保全に努めなければならず、管理組合の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることがあってはならない。

 

とりわけ、外部の専門家の役員就任を可能とする選択肢を設けたことに伴い、このようなおそれのある取引に対する規制の必要性が高くなっている。

 

そこで、役員が、利益相反取引(直接取引又は間接取引)を行おうとする場合には、理事会で当該取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならないことを定めるものである。

 

なお、同様の趣旨により、理事会の決議に特別の利害関係を有する理事は、その議決に加わることができない旨を規定する(第53条第3項)とともに、管理組合と理事長との利益が相反する事項については、監事又は当該理事以外の理事が管理組合を代表する旨を規定する(第38条第6項)こととしている。

 

松本マンション管理士事務所 代表
東京都マンション管理士会城東支部 事務局長
 マンション管理士

1954年、東京都目黒区生まれ。

不動産会社、商社系マンション管理会社に勤務。

2005年、マンション管理士事務所を開業。

管理業務主任者、宅地建物取引士、測量士補などの資格を所持。著書に『買ったときより高く売れるマンション』(アーク出版)などがある。

著者紹介

連載データから学ぶ「マンション管理組合」運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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