(※写真はイメージです/PIXTA)

最近はご近所付き合いを避ける人が多く、人間関係が希薄になってきています。しかし普段の挨拶から生まれるご近所付き合いは、有事の際に助け合いのネットワークとして機能します。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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緊急時に理事長判断で応急工事が可能に

■災害時の緊急対応

 

管理組合理事長といえども、理事会の決議に基づかないと理事長として行動ができません。しかしながら、災害などの緊急時には理事長判断で一定の要件を満たせば、応急工事が可能になりました。

 

平成28年3月14日改正された標準管理規約では、「理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる」という規定が新たに付け加えられました。

 

(標準管理規約 第21条第6項)

 

これによって、災害時などの緊急時に必要な保存行為であれば、単独で判断してできるようになりました。加えて、標準管理規約第21条関係コメントでは、

 

「第6項の災害等の緊急時における必要な保存行為の実施のほか、平時における専用使用権のない敷地又は共用部分等の保存行為について、理事会の承認を得て理事長が行えるとすることや、少額の保存行為であれば理事長に一任することを、規約において定めることも考えられる。その場合、理事長単独で判断し実施することができる保存行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。」としています。平成の標準管理規約の改正で、災害時等の緊急時の応急修繕工事は理事会決議で行うことが可能になりました。

 

新しく加えられた規約及びコメント
十 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等 (第54条(議決事項)1項十号)
2 第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。

 

第21条 ~敷地及び共用部分等の管理

 

6理事長は、災害等の緊急時においては、総会又は理事会の決議によらずに、敷地及び共用部分等の必要な保存行為を行うことができる。

 

~第21条コメント~ 
(11)災害等の緊急時において、保存行為を超える応急的な修繕行為の実施が必要であるが、総会の開催が困難である場合には、理事会においてその実施を決定することができることとしている(第54条第1項第十号及びコメント第54条関係(1)を参照。)。
しかし、大規模な災害や突発的な被災では、理事会の開催も困難な場合があることから、そのような場合には、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。
更に、理事長をはじめとする役員が対応できない事態に備え、あらかじめ定められた方法により選任された区分所有者等の判断により保存行為や応急的な修繕行為を実施することができる旨を、規約において定めることも考えられる。
なお、理事長等が単独で判断し実施することができる保存行為や応急的な修繕行為に要する費用の限度額について、予め定めておくことも考えられる。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

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松本 洋

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