管理組合の役員不足で専門家の支援の必要性が
国土交通省の平成30年度マンション総合調査では、専門家を活用しているマンションは41.8%であり、活用した専門家は、建築士が15.6%と最も多く、次いで弁護士が15.2%、マンション管理士が13.0%となっています。
建築士、弁護士に比べるとマンション管理士を専門家として活用しているマンションの割合は低い数字になっております。
マンション管理士の国家資格で合格率は7~9%台を推移していて、難関な国家資格といわれています。
マンション管理士の資格は分譲マンションが増えとりわけ築年数が経過した古いマンションが増加したことや、マンションでの永住意識が高まる一方で、管理組合活動への無関心化とともに居住者の高齢化が進んでいる中で、役員のなり手不足が課題となっており、専門家による支援がより重要になってきました。
マンションの適切な管理を行うには、管理組合の円滑な運営や大規模修繕工事の適切な実施などが必要不可欠です。このため、マンションの管理の専門家であるマンション管理士という国家資格が2001年に創設されました。
マンション管理士という資格は、マンション管理組合へのコンサルタント業務がメインになります。継続的に支援する管理組合の顧問となりその顧問料が収入になります。
管理組合の理事会ではなかなか判断できない高度な専門知識が必要です。
しかしながら、マンション管理士を生業にしているマンション管理士は少ないようです。
全国で国土交通省に登録しているマンション管理士は、2018年3月現在約24000人といわれています。
我が国のマンション管理士の全国組織である「日本マンション管理士会連合会」のホームページでは、構成員(マンション管理士)は約1600名となっています。割合にすると6.6%です。
日本マンション管理士会連合会の構成員以外の約2万人のマンション管理士はどこに所属しているのでしょうか。
2018年6月に国土交通大臣指定「公益財団法人マンション管理センター」から、マンション管理士の業務の実態調査のアンケート調査結果の概要が発表されました。
回答者の年齢は、「60歳~69歳」の年齢割合が最も高く34.3%、次いで「50歳~59歳」が27.1%となっています。
マンション管理士の資格を取得した理由は、
①職場の業務に活かすため
②就職・転職に活かすため
③職場で資格取得の奨励があったため
という結果で、現在又は将来の仕事に活かすことを目的とした者が最も多くなっています。
マンション管理士の資格は、国家資格なのでマンション管理会社をはじめ不動産関係の会社、デベロッパー関係、建設会社などの就職、転職の際に有利になるといわれており多くのマンション管理士はマンション管理会社などの「社内マンション管理士」として従事しております。
回答者の職業は、「会社員」と回答した者が多く、特に、マンション管理業や不動産業に従事する会社員が34.6%となっています。「マンション管理士として就業」と回答した者は4.6%でした。
居住する分譲マンションでの役員等就任経験に関しては、約8割の回答者が居住しているマンションでの役員等就任を経験しており、うち理事長経験者も37.3%という結果でありました。
マンション管理士としての現在の活動状況のアンケートでは「マンション管理士としての活動を行っている」又は「以前活動を行っていた」と回答した者の割合は21.5%でした。一方、「活動を行ったことがない」と回答した者が75.8%を占めています。
マンション管理士としての現在の活動状況については「マンション管理士としての活動を行っている」又は「以前活動を行っていた」と回答した者の割合は21.5%でありマンション管理士の業務を本業として活動を行っていると回答した者はわずか5.4%でした。一方、「活動を行ったことがない」と回答した者が75.8%を占めています。
マンション管理士として本業又は副業として業務を行っている者の属性は、回答者の年齢は、「60~69歳」の割合が最も高く40.3%であり、次いで「70~79歳」が28.8%となっている一方、60歳未満も27%となっています。高齢者の割合が多いことがわかります。