(※写真はイメージです/PIXTA)

分譲マンションの自室を他人に貸して家賃収入をえたい、リフォームしたいと考えている人は多いでしょう。自分の部屋とはいえ、勝手に人に貸したり、リフォームすることはできません。どのようなことに気をつけなればならないのでしょうか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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マンションを人に貸して家賃収入をえたい

■専有部分を貸したい

 

専有部分を貸与するにあたって、標準管理規約第19条では『区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。』と規定されています。

 

さらに、第2項では、『区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。』と規定されています。

 

一方、専有部を借りて使用収益する賃借人(占有者)においては、標準管理規約第5条第2項で『占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う』としています。

 

但し、組合員ではないので、管理費・修繕積立金などの支払いの義務はありません。

 

区分所有者がその専有部分を第三者に貸与する場合の規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させるための規定の具体的な例として、遵守事項を取り込んだ賃貸借契約書と誓約書の雛型を標準管理規約第19条コメントでは示しています。

 

このように、賃借人に対して強く規定を設けているのは、賃借人は分譲マンションの管理に関する意識や管理規約について理解し難い環境であることが推測されるので、賃貸契約書で明確にしてなおかつ誓約書を堤出させることで、規約の遵守義務を有効に作用させる狙いあると考えます。

 

区分所有者は、その専有部を第三者に貸与している間(当該専有部から転出する場合のみならず、転出後さらに転居する場合も含む。)は現に居住する住所、電話番後などの連絡先を管理組合に届け出なければならない旨を規約に定めることも、区分所有者に連絡がつかない場合を未然に回避する観点から有効です。もちろん、長期にわたり不在にする場合も、届出規定を設けることも有効です。

 

標準管理規約では、総会の招集手続きとして招集通知は管理組合に届出をしたあて先に発するとなっている。あて先が管理組合届出されていない場合は、対象物件内の専有部分の所在地あてに発することになるので注意が必要になります。

 

専有部の貸与にあたっては、マンションは集合住宅であることを充分に認識したうえで対応することが大切です。

 

■専有部の模様替え

 

マンション専有部のリフォームを行うと、工事中の騒音、工事業者の駐車場の問題、工事中の材料搬入による共用部の傷や破損を防止する養生の問題、床材の遮音の問題など、集合住宅として他の住戸や居住者への配慮が必要となります。そのようなことから、専有部は『個人の持ち物』なのですが、標準管理規約では、規約・使用細則を定め管理組合に無断で工事が行われないようにしています。

 

専有部分のリフォームを行う場合、規約・使用細則を充分確認し理解してから実施することで工事の際はもちろん、工事が完了したあとのトラブルの防止に繋がります。

 

専有部分のリフォームについて、標準管理規約第17条で下記のように規定されております。

 

第17条 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
2 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。
3 理事長は、第1項の規定による申請について、承認しようとするとき、又は不承認としようとするときは、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議を経なければならない。
4 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。
5 理事長又はその指定を受けた者は、本条の施行に必要な範囲内において、修繕等の箇所に立ち入り、必要な調査を行うことができる。この場合において、区分所有者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

 

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