捨てられる「老朽マンション」危機…建替円滑法で救えるのか (※写真はイメージです/PIXTA)

一戸建てよりもマンションを選ぶシニア層が増えています。築年数の経過したマンションほど70歳以上の割合が高くなりますが、災害時の安否確認等や孤独死発見の遅れなど、管理組合は苦慮しているのが現状です。年金への不安から、賃貸戸数の増加も生んでいます。お金をかけない地域コミュニティ形成や、マンションを取り巻く現況について見ていきましょう。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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老朽化マンションの建替え・除却をスムースに進める法

老朽化が進み、維持・修繕等が困難となったマンションの再生に向けた取組を強化すべく、令和2年2月28日に「マンション管理適正化法・マンション建替え円滑法」改正案が閣議決定され国会に提出されました。

 

そして、各市区や都道府県などの自治体にマンション管理適正化の推進を図るための策定計画を促す「マンション管理適正化推進計画制度」ができました(図表)。

 

[図表]法案の概要

 

計画を策定した地区では「管理計画認定制度」を実施してその地区内の管理組合は各自のマンションの「管理計画」を作成でき、国が作成する基準を満たせば都道府県知事の認定を受けられます。

 

これは、地方自治体にマンション管理に対する積極的な関与を促す画期的な新制度です。

 

この制度では、管理組合が設立されていない、管理規約がない、総会が開催されていない、議事録がない、長期修繕計画がない、大規模修繕工事が実施されていない、修繕積立金が不足しているなどをチェックし評価してのいわゆる「管理不全マンション」を放置されないようにするのです。

 

地方自治体が資金計画や管理組合運営の状況を評価、判定して改善の必要があると判断した場合には、各自治体が管理組合に助言・指導を行います。必要であれば各自治体がマンション管理士などの専門家を派遣します。

 

国が作成する基準を満しているマンションは都道府県知事の認定を受けられて管理が良好なマンションとして国のお墨付きがもらえるわけです。

 

国は「管理計画認定制度」を2022年までに施行する方針です。

 

また、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震等の巨大地震の発生のおそれがある中、耐震性が不足しているマンションについて除却の必要性に係る認定制度、「要除却認定」の対象の範囲は今までは耐震性が不足しているマンションだけでしたが、「マンション建替え円滑法」の改正案では、耐震性の不足に加え外壁の剥落などにより危害を生ずるおそれがあるマンション等やバリアフリー性能が確保されていないマンション等も追加されました。

 

加えて、要除却認定を受けた老朽化マンションを含む団地において、敷地共有者の4/5以上の同意によりマンション敷地の分割が可能となります。

 

このような要件を満たしているマンションは、マンション建替円滑化法に基づくマンション敷地売却事業の認定や容積率の緩和特例許可を申請できるほか、各自治体から除却へ向けた指導・助言を受ける対象となります。

 

要除却認定を受けることで、自治体から指導や助言を受けられるほか、色々と支援を受けられます。

 

今まではマンションの敷地を売却することは、全員の合意が必要でしたが要除却認定を受けることで、マンションの建替えと同じように4/5の賛成があれば可能になります。

 

また、要除却認定を受けることで、建替えの際に容積率の緩和の特例措置が受けられるので今より大きなマンションを建設できて戸数なども増えて、増えた戸数を販売することもできるので建替え費用が安くなることも期待できます。

 

この制度により、耐震性の不十分なマンションの建替えや除却がスムースに進むことが望まれます。

 

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松本マンション管理士事務所 代表
東京都マンション管理士会城東支部 事務局長
 マンション管理士

1954年、東京都目黒区生まれ。

不動産会社、商社系マンション管理会社に勤務。

2005年、マンション管理士事務所を開業。

管理業務主任者、宅地建物取引士、測量士補などの資格を所持。著書に『買ったときより高く売れるマンション』(アーク出版)などがある。

著者紹介

連載データから学ぶ「マンション管理組合」運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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