業績好調の「半導体株」がナスダック指数を牽引
ナスダック総合指数は、5月にインフレ懸念などから調整色を強める場面も見られたが、その後は米長期金利の低下などから業績好調な半導体株を中心に反発の動きを見せ、14,000ポイント台を回復した(6月10日時点)。
6月に発表された5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を幾分下回ったことに加え、5月の米CPI(消費者物価指数)が前年同月比で5.0%の上昇となったが、物価上昇は一時的との見方が強く、米10年債利回りが1.4%台に低下したことなどを受け、市場に買い安心感が広がった。
VIX(恐怖)指数の低下などから、ゴルディロックス(適温相場)の様相をみせ、米国株の代表的な指標の一つであるS&P500指数は6月10日に終値ベースで過去最高値を更新。
米長期金利の低下やVIX指数の低下などがバリュエーションの調整リスクを後退させ、グロース株中心のナスダック指数の上昇もサポートしたと見られる。
「成長株」や「キャッシュリッチ銘柄」を個別に選別
ビットコインと同様、過剰流動性の象徴の一つとしてみなされることも多い「AMCエンターテインメント・ホールディングス(ティッカー:AMC)」株などに代表される「ミーム銘柄※」の売買は依然として活況であり、個人投資家の強い投資意欲が中小型の高PERテック・イノベーション株などの下値を支える可能性もあろう。
※ミーム銘柄:Meme stock。投資経験の少ない個人投資家等がインターネット上のSNS情報などを基に激しい売買を繰り返している銘柄のこと。
とはいえ、経済の正常化に伴い、先行きの金利の正常化(名目長期金利や実質長期金利の上昇)は自然な流れにあると見られ、FRBによるテーパリング(量的緩和の縮小)の動向なども含めて、事あるごとにハイテク・グロース株に対し売り圧力が高まることも予想される。
そうした点を踏まえ、ナスダック全体への投資は慎重姿勢をとりつつ、アフターコロナでも成長が見込まれる銘柄やキャッシュリッチで自社株買いが期待できる銘柄を個別に選別する投資スタンスが基本戦略となろう。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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