7年間で約500件の不動産取引の経験を持つグランドネクスト株式会社代表・小島優一氏は、物件の「共有名義の危険性」を指摘しています。本記事では事例をもとに、離婚時の財産分与において、共有名義の家やマンションがどのようなトラブルを引き起こすのか、見ていきましょう。

「住宅ローンの有無」で対応方法がとんでもなく変わる

住宅ローンが残っていると…
住宅ローンが残っていると…

 

最後に夫婦の共有名義で家やマンションを購入して離婚した場合、その家をどのようにすればよいかについて説明します。

 

住宅ローンの有無によって対処方法が異なるため、財産分与の対象となっている共有名義の家やマンションに住宅ローンが残っているかどうかを確認することが必要です。

 

まず、夫婦共有名義の家やマンションに住宅ローンがない場合の対処法を紹介します。    

 

(1)住宅ローンがない家で、共有名義の場合

 

■共有名義を解消する方法

 

住宅ローンがない共有名義のマンションや家を離婚時に財産分与する際に、手っ取り早いのが共有名義を解消してどちらかだけの名義にする方法です。

 

どちらかの単独名義として登記申請(所有権移転登記の申請)手続きをすれば完了ですが、一般的には離婚協議書や財産分与契約書なども作成します。その際、財産分与を公平に行うために、単独名義を得た側が相手に対して「代償金」として名義分の金額を支払うこともあります。両者の承諾があれば、代償金を夫婦のどちらかが支払うことになっている慰謝料や養育費に充てることも可能です。

 

■売却して財産分割する方法

 

住宅ローンが残っていなければ、どちらの名義にもせず共有名義のまま売却をして、売却代金を財産分与する方法も可能です。ただし、売買時には両者の合意と手続きが必要になります。どうしても顔を合わせたくない場合は、代理人を立てたり相手側に契約手続き等を委任したりすることも可能です。

 

(2)住宅ローンが残っている家で、共有名義の場合

 

住宅ローンが残っている家やマンションの場合、プラスの資産とマイナスの資産を分与することになります。

 

■共有名義を解消する方法

 

住宅ローンが残っている場合、住宅ローンを設定している金融機関の了承を取らないと共有名義を単独名義に変更できません。さらに夫婦の収入を合わせて住宅ローンを組んでいた場合、単独名義にするには夫婦で支払っているローンの完済を求められることがあります。

 

解決策として、ほかで資金を調達してローンを完済したり、新たに単独でローンを組んで今のローンを完済したりする方法が求められます。

 

■売却して財産分割する方法

 

住宅ローンが残っている共有名義の家やマンションを売却して財産分与をする場合、売却代金で住宅ローンが完済できるかできないかがポイントになります。

 

売却するためには住宅ローンを完済して抵当権を外さなければなりません。そのため、売却代金で住宅ローンが完済できそうになかったら、今のローンを完済するために貯蓄やほかからの借入れを用いて補填することが必要です。

 

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