「敷地権」がない古いマンション…購入して大丈夫?
Aさん(32歳:フリーランス)は、マンションを買い替える友人から、今の古いマンションを格安で買わないかと持ちかけられました。自宅兼事務所にもできるため、Aさんは購入したいと考えています。
しかし、その古いマンションには「敷地権」がないらしいのです。このことを友人から聞いたAさんは、敷地権がないマンションを買っても大丈夫なのか心配になりました。仲介手数料を節約するために、不動産会社の仲介は入れない予定です。
マンションの敷地権とは?
最初に、敷地権とは何かと、マンションなどの集合住宅の権利関係について説明します。一戸建ての場合は、土地と建物の関係が1対1なのでわかりやすいですが、マンションは所有権者が複数になるため、権利関係が複雑です。一つずつ理解していきましょう。
区分所有権と敷地利用権について
マンションなどの集合住宅の区分所有権とは、一つの建物の中に壁などで区切って構造上独立した部分(部屋)を作り、それぞれの部分に付帯した所有権のことです。区切られた各々の部屋は「専有部分」と呼ばれ、専有部分以外のエントランスや廊下などの部分は「共用部分」と呼ばれます。
建物だけでなく、区分所有建物が建てられている敷地も複数人の共有対象です。よって、建物の専有部分の持分割合に応じた敷地の共有持分の割合が定められています。
この敷地の共有持分が「敷地利用権」と呼ばれるものです。
敷地権と敷地利用権との違い
敷地利用権とは、区分所有建物の所有者が持っている敷地に関する権利のことです。
①個々の建物の所有権が「区分所有権」
②区分所有建物が建っている敷地の共有持分が「敷地利用権」
この①と②を一つの権利としてまとめたものが「敷地権」です。
敷地権は、1983年(昭和58年)の建物の区分所有法の改正によって定められました。敷地権が制定された理由は、区分所有権と敷地利用権とが別個の登記だと、それぞれを分離して売買するようなケースが出てくるため、そのような事態を防ぐために建物と敷地の権利を一つにまとめる敷地権が定められたのです。